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SDGS:持続可能な開発目標~東南アジアでのクリーンエネルギーの普及に取組む投資~

■ごあいさつ
クラウドクレジットブログでは3度目まして、商品部の松浦と申します!私は、当社のウェブサイトに掲載しているファンド商品を組成する部署にて、投資先の発掘・条件交渉・ドキュメンテーション等販売に至るまでの過程を担当しております。
この度は<SDGS:持続可能な開発目標~ジェンダー平等実現に取組む投資~><SDGS:持続可能な開発目標~クリーンエネルギーの普及に取組む投資~>に引き続き、弊社のSDGsへの取り組み事例として、私が組成を担当したファンド商品を採り上げ、日本の投資家の皆様がクラウドクレジットを通じて投資された資金がどのようにSDGsの実現につながるのか、お話しさせていただきたいと思います。
 

事例紹介:東南アジア未電化地域支援ファンド~「SDGs:クリーンエネルギーの普及」~

■どんなファンドなの?
ミャンマーの子会社を通じて、同地にて太陽光発電ユニットの割賦販売を行っているシンガポールの企業R社に融資をするファンドです!

■どんな国に貸すの?
ミャンマーは東南アジアで最も未電化率が高く、国際エネルギー機関(IEA)によるとミャンマー国民の40%超にあたる約2千万人が、電力供給を受けることができていません。現在、R社ではこのような未電化地域に住むBottom of the Pyramidと呼ばれる月収USD85以下の貧困層を事業の主要なターゲット顧客層と見ておりますが、その規模はミャンマーだけでも約8百万世帯にのぼります。

ミャンマーで現在主流となっている照明は灯油ランプで、安価であるものの、火傷や呼吸器への負担等の健康被害をもたらす危険性があります。また、発電機能はないためスマートフォンを充電する際は、別途有料の充電サービスを利用しなければなりません。また、村落の有力者がディーゼルバッテリーを使用してコミュニティ内であたかも小さな発電所のように電力を販売している場合もありますが、月20ドルもかかります。未電化地域に住む貧困層にとっては高額ですが、12%の世帯が村落内の発電サービスを利用しています。
このような環境において、貧困層でも支払える価格で、効率的に電力を確保する手段として近年ミャンマーではオフグリッド型太陽光発電システム*の利用が拡大しています。R社はミャンマーでのオフグリッド型太陽光発電システムのニーズにビジネスチャンスを見出し、2016年に参入しました。
*オフグリッド型太陽光発電は、電力会社が提供する送電系統(「オングリッド」)とは独立した発電システム

■誰に貸しているの?
本ファンドでは、ミャンマーの子会社を通じて家庭用太陽光発電ユニットの割賦販売を行っているシンガポール共和国に籍を置く持ち株会社R社に対して、貸付を行います。

R社の創業者は、ミャンマーにおける外貨規制が厳格であること、今後アジア各国に進出する計画であることから、財務機能をシンガポール法人に集中すべく、2016年7月にR社を設立しました。実際に事業を行うミャンマー法人は同年11月に設立されました。
R社は発電量に応じて4種類の太陽光発電ユニットを提供しており、顧客は2年間の継続利用で所有権を獲得できます。
スマートフォン普及率が8割と高いミャンマーですが、スマートフォン保有者の殆どは人口が集中している都市部の住民です。R社の顧客層となる郊外の未電化地域は通信環境が悪く、住民の多くが未だ携帯電話を保有していません。そのため、顧客の3分の2がスマートフォンを通じたモバイル決済を利用していますが、残り3分の1は現金で支払っていります。
20日程度課金がなく、使用率も低いとみられる顧客に関しては製品を回収しておりますが、R社は顧客の支払い能力や電力需要も考慮して販売しているため、製品回収率は2.3%以下にとどまっています。

また、R社の提供している発電システムは、東南アジアの気候に合わせて開発されたため、一日中雨が降り続ける雨季においても、乾季の70%(約7時間点灯)は発電できる能力を有しています。

R社は2017年に4カ月で目標である2,000ユニット弱を販売しましたが、2018年は大幅に事業拡大をして3万ユニットを販売する計画です。2021年までには、貧困層8百万世帯のうち10%にあたる80万世帯に製品を届けることを目標としています。
また、ミャンマーでの目標達成後は他の東南アジア諸国への進出を計画しており、東南アジアの未電化地域に再生可能エネルギーを普及させたいと考えています。そのため、R社のグローバルな事業展開を見込み、本ファンドは「ミャンマー未電化地域支援ファンド」ではなく「東南アジア未電化地域支援ファンド」と名付けました。

■私の投資にどのようなインパクトがあるの? 
ミャンマー未電化地域支援ファンドを通じてR社の事業をサポートいただくことで、どのような社会インパクトをもたらすことができるのでしょうか。
この度、東南アジア未電化地域支援ファンドでは1号から累計して1年間で2億円を募集したいと考えております。

 

2億円(累計募集金額)÷9千円(R社人気製品の売上原価)=2.2万個

2.2万個÷8百万世帯(ミャンマーの貧困世帯の数)=0.3%

つまり、本ファンドが1年間を通じて無事2億円を募集できた場合、ミャンマーの貧困世帯の約0.3%に電気を届けることができるのです。

それでは、貧困世帯に電気が届くと、なにが変わるのでしょうか。
①    健康:
前述のように灯油ランプは健康被害をもたらす可能性がありますが、比較的安全な太陽光発電システムを使用することで健康リスクを回避できます。

②    収入:
前述の通りR社のターゲットは月収85ドル以下の貧困世帯です。つまり、時給換算すると・・・
 

85ドル÷25日(各月の労働日数)÷8時間=0.4ドル
 

例えば太陽光発電システムを導入することで、暗くなった後も1時間仕事が長くできるようになったとすると月収は下記の通り増えると考えられます。
 

0.4ドル×25日=10ドル
R社の一番人気の製品は月額6.7ドルなので、
(10ドル-6.7ドル)÷85=4%

 

導入前に比べて4%月収が増えることになります。

③    環境:
R社は、ディーゼルバッテリーによる発電を太陽光発電システムに置き換えることで、一年間でひと世帯あたり140キロの二酸化炭素が削減できるとのデータを発表しています。
ミャンマーは年間1.7万トンの二酸化炭素を放出しているので
 

140キロ×2.2万個×12%(ディーゼルバッテリーの使用率)÷1.7万トン=2.2%

なんとミャンマーの二酸化炭素排出量の4%が減るということになります。

この数字は製品別の削減量など細かな要素を考慮していないので、正確に計算するともっと下振れますが、本ファンドのインパクトの大きさ、そしてミャンマーにおける家庭レベルでの二酸化炭素排の割合の大きさが推察できます。

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このように、一人一人の力が合わさることで、ミャンマーの人々の日々の生活だけではなく、地球の未来にも影響を与えることができるということを実感頂けましたら幸いです。ちなみに、ミャンマーの一人当たり二酸化炭素排出量は0.4トン、日本の一人当たり二酸化炭素排出量は世界で5位の9.5トンだそうです。日本の我々も、責任感をもって毎日コツコツ環境保護に取り組む必要があるのではないでしょうか。

以上、東南アジア未電化地域支援ファンドのご紹介になりますが、今後弊社はより多くのSDGs項目を実現するために、投資先企業の所在国や事業分野の多様化により一層取り組んで参りたいと思いますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。


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