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フィンランドでは「テストがない」?「競争しない」?

  先日、フィンランドという国について簡単に紹介しましたが、今回はフィンランドの教育について、さらに詳しくご紹介したいと思います。フィンランドの教育は、全体のレベルを底上げするような、落ちこぼれを作らない教育を施していると紹介しました。
 ところで、日本ではフィンランドの教育について「テストがない」、「競争しない」と理解される場合がありますが、それは果たして本当なのでしょうか?
 

フィンランドの優れた教育システム

  フィンランドではクラスの人数も最大25人と少人数制が取られており、授業も「詰め込み」式ではなく、年間授業は190日のみです。また、教育支出がGDPの5.1%を占める日本に対して、フィンランドは6.5%を注いでいます。また、教育の大前提として子供は未来の担い手というポリシーを持っており、6~16歳の義務教育は授業料が無料なだけでなく、教科書に文房具、遠隔地の家庭にはスクールタクシーまでがタダになります OECDの調査によると、フィンランドは対GDP教育支出額で上位圏にランクインしています。そのために、高校まではほぼ無償で学校に通え、大学学費の負担も軽減されています。

 

 

 

(出典:OECD Stats)

 


(少人数制の授業)

「テストがない」、「競争しない」説には本当だろうか?

 フィンランドは、小学校3年までは宿題もなくゆったりしたペースの教育を受けますが、小学校4年から急にテストが増えます。テストは年間4~6回と回数が多く、競争が激しくなることが伺えます。中学校に入ると、 更にテストは増え難しさはさらに増す上、生徒の半分が進学できない結果が生まれます。日本のように難関大学に入るための予備校もあり、ストレスに悩まされる生徒もいます。

 そういった環境の中で、フィンランドが革新を起こし続けられる理由は、小学校からスマホやタブレットなどの端末を使ってのメディア教育に力を入れたり、新しい技術に対応できる力を発揮させるための革新的な教育を施すために2016年から小学校の授業にプログラミングが加えたり、(1~2年生からプログラミングに触れ、ツールやゲームを自ら作る経験を組み込んでいる)しています。

 

(タブレットで授業を受けている生徒達)

 フィンランドには進学校や専門系学校もあったりしますが、職業訓練学校でも大学や短期大学に進学できるよう、柔軟な制度が整っています。また日本と同じように難関大学に入るために予備校に通う学生もいます。一方、先生になるためには修士課程を修了させることは必須であり、教育者の専門性を高めています。また、少数の優秀な人材を作るよりも学習進捗が遅い子供や生徒たちに焦点をあて全体のレベルを底上げする教育を施すために補習教師を雇い、個別指導を行っています。

 さらに最新の技術などを導入した教育を施し、教育の革新性にも努めています。特に、2000年代以降、工業化社会から情報化社会に変化しているところで、工業化をベースとした教育から、ITを中心とした教育に切り替えるなどの努力をしています。これにより、授業スタイルも、先生が一方的に学生に教えるものから、生徒が主体的に、能動的に授業に参加するものへと変化しています。これらの施策がフィンランドの教育を豊かにしているのです。


 フィンランドの教育スタイルの変遷

教育に投資し、より柔軟な教育を施し、 革新を導き出すことがフィンランド経済の原動力となっています。
ノキアという一企業の業績に左右されることなく、刻一刻変わる世界に対応し改革し続けるために、未来を担う子供達の教育を重要視する姿がそこにあります。

 


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