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ペルー経済の近況(為替編)

クラウドクレジットの杉山です。

当社がご提供するペルー小口債務者支援プロジェクトはお客様向けの運用を開始してちょうど2年になりますが、ペルー経済の近況についていくつかの観点からこちらのブログでご紹介します。
 

 

今回は、為替レートを中心にご紹介します。

2013年のいわゆるバーナンキショック以来世界の新興国の対ドルでの通貨安が始まりましたが、ヌエボ・ソルもそれまで10年近く続いた対ドルでの上昇局面がバーナンキショックで終わり、その後逆に対ドルで下落を始めます。

(ソル対ドルの為替相場、出所:Google Finance)
 

ペルーの中央銀行は現地通貨のボラティリティをかなり嫌う傾向にあり、それまでの現地通貨の上昇局面では積極的に現地通貨の売り介入を行っていたのを、バーナンキショック以降一転して現地通貨の買い介入に切り替えます。

(為替レートは上に行くほど現地通貨は下落、茶色の線は上が中銀の現地通貨売り介入、下が現地通貨買い介入、出所:ペルー中央準備銀行)

 

新興国通貨が下落をしている間、ソルの下落に対する懸念はほとんど起きませんでした。

それはペルーが東南アジアのタイ、中欧のチェコに次いで、新興国の中でもかなりの外貨準備を持っている国として有名だったためです。

(新興国各国の外貨準備高対GDP比率、出所:ドイツ銀行)

 

そして今年の2月を境にソルはドルに対して上昇基調に転じており、通貨のボラティリティを嫌うペルー中銀はさっそく現地通貨売り介入を行っています。

(為替レートは上に行くほど現地通貨は下落、黒い線は上が中銀の現地通貨売り介入、下が現地通貨買い介入、出所:ペルー中央準備銀行)

 

ペルー中銀がここ数年間の通貨安とのたたかいを一旦終えたことは、彼らの為替スワップの取引残高がどんどんゼロに向けて急減していることをみてもわかります。

日本では為替介入といえば単純に中央銀行が為替を売り買いするイメージがあると思いますが、ペルーでは(他の新興国と同様に)為替スワップ取引による介入も頻繁に行われます。

(ペルー中銀の為替スワップ取引残高、出所:ペルー中央準備銀行)

 

結局ここ数年間のソルの対ドルでの下落は、ブラジル・レアルと比べて半分くらいでした。

(青線:ペルー・ソル、赤線:ブラジル・レアル、出所:Google Finance)

 

ちなみに上記の通りペルー中銀は過去数年間にわたって現地通貨買い/ドル売り介入を行っていましたが、いわゆる対ドル通貨バスケット(様々な通貨の対ドルでの動向)と同程度の現地通貨の下落は許容していた(ペルーは資源の輸出国であるため、介入しすぎて自国だけ通貨高になってしまっても損)ため、介入額はたいしたことがなく、ドル高による持ち分の増加もあり、この数年間での外貨準備高の減少は6%程度に収まりました。

 

(ペルーの外貨準備高、百万ドル、出所:ペルー中央準備銀行)

 

特にここ1年間はほとんど変化がありませんでした。

(ペルーの外貨準備高、百万ドル、出所:ペルー中央準備銀行)

 

当社は経済、金融、為替の安定したペルーを最初の投資先国として開業しましたが、ここ数年間の世界的な新興国の通貨安の環境下でも、安心して情勢を見守ることができました。

(尚、当社はペルーにおける延滞債権投資事業に対してソル/円の為替ヘッジ取引を行っています。)


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