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商品部長の気まぐれブログ

2015年10月に当社に入社し、12月より商品部長の任に就いている依田と申します。

 

これまで、当社からの情報発信は主に営業部長の成と商品部の佐藤に任せておりましたが、バレンタインデーを前にしたある日、佐藤から「投資家様に有益な情報を発信したらチョコあげますよ、義理ですけど!」と言われ、パブロフの犬のようにブログ書きを承諾・・・、慣れないものに悪戦苦闘しているうちに、いつの間にかホワイトデーまで過ぎてしまいました。が、やっと公開できるところにたどり着きました。読者のみなさま、よろしくお願いいたします。

 

高い金利での運用ニーズ

さて、当社では何度となく投資家のみなさまからアンケートを取らせていただき、商品設計の参考にさせていただいております。そのなかでときおり耳にする言葉が「高利回りの商品を購入したい」とのお声です。

特に最近「日本銀行がマイナス金利導入」とのニュースを受け、長期に渡る日本銀行のゼロ金利政策下で運用難にあえいでいた投資家様のなかでも「運用にかかるリスクをとってもある程度収益性が見込める金融商品の購入を考えてみたい」という姿勢に転換されるかたが増えているように感じられます。

一方で都市銀行の定期預金金利が3年物や5年物で年利0.01%(2016年3月4日時点の都市銀行のHP情報より、当社調べ)という運用環境のなか、運用期間3年で年利5.00%の運用商品であっても定期預金の500倍の利回りとなりますので、そこには利率が高くなる相応の要因があるはずです。

 

高金利商品のリスクとは

もちろん、当社商品をご購入されている投資家のみなさまには既知のことであると思いますが、現在新たに投資をお考えのみなさまに、「なぜ低金利の時代に高金利が見込める商品を販売できるのか」「高金利が見込める商品を購入したら投資家はどのようなリスクを持つのか」をご説明申し上げます。

 

一般的に金利が高い背景は2つありますので、それぞれを解説させていただきます。

 

enlightened当該外国通貨の政策金利が高いために高金利になるケースenlightened

政策金利とは、各国の中央銀行が設定している短期金融市場の誘導目標金利のことです。

例えば日本ですと無担保コールO/N物レートという、金融機関同士で行われている「約定日当日に資金を貸し付け(借り入れ)、翌営業日に返済を行う」取引の金利が政策金利になっています。

一般的に政策金利は、国内インフレ率が高い状態が継続して物価上昇しているときに高くなり、インフレ率が低下して物価上昇が抑えられると低くなります。2016年時点で政策金利が高い通貨というと「ブラジルレアル」や「インドネシアルピア」などがあげられます。

    

こうした高金利通貨は、長期間にわたって当該通貨を持ち続ける(=タンス預金のような状態)ことで物価上昇による価値毀損が見込まれることから、貸出によって価値毀損に見合う金利を受ける必要があるといって良いでしょう。

またブラジルやインドネシアにいるわけではない外国人投資家にとっても、ブラジルレアルやインドネシアルピアの価値は、日用雑貨や家電製品のようなモノだけではなくインフレによる通貨価毀損の可能性が低い主要外国通貨に対しても価値が下落していく(通貨安になる)ことが見込まれるため、それに見合った金利が必要といえます。

 

 

enlightened借り手の信用力が低いために高金利になるケースenlightened

一般的に、資金需要者の信用力が高く、元利返済の確率が確実と見込まれるときには低い利率で貸出が行われ、資金需要者の信用力が低くなるにつれて貸付利率は高くなっていきます。

投資家のみなさまも「世界銀行が発行する債券はAAAだから安心」などという言葉を聞いたことがあるのではないかと思いますが、この「AAA(トリプルエー)」などという信用格付けを付与している機関が信用格付業者といわれています。

日本ですと2016年3月現在、7つの業者が信用格付業者登録しており、そのリストは金融庁のホームページで確認できます。この信用格付けの高低によって資金需要者の調達金利が決定されています。

ただ一方で、信用格付を取得できるような債券発行者や資金需要者は多くありません。多くの中小企業や個人が様々な資金需要を抱えていますが、このような資金需要者への貸付金利は信用格付けを取得できるような企業・団体よりもさらに高くなっているのが一般的です。

 

当社ファンドの期待利回りが高いのはなぜ?

ここで当社が販売している「欧州3カ国個人向けローンファンド」を一例としてみてみましょう。

当社ホームページ中の商品説明ページに記載がありますが、投資家のみなさまからお預かりした資金はエストニアの金銭貸借プラットフォームであるBondora を通してエストニア・フィンランド・スペインの個人資金需要者に貸し出されています。

  

借入人の借入目的は「生活資金」「他社借入からの借換」「住居のリフォーム・改築」「医療費」「教育資金」などとなっており、日本でも消費者金融業者やカードローン業者による貸付と重なる使途が多数です。

 

このような個人向けローンでは資金需要者の収入と支出状況・年齢・家庭の状況・就業している職種や業種・最終学歴・他社からの借入状況・住居の状況(持家か否かなど)等が審査されます。Bondora でも所定の審査が行われ、資金需要者はBondora によってAA・A・B・C・D・E・F・HRのいずれかの信用レーティングを受けられると借入が可能になります。

Bondoraプラットフォーム画像

もちろん、このときに信用力の高いAAの借り手は低い金利で借入申請ができ、信用力の低いHRの借り手は高い金利で借入申請します。投資家はみずからが適切と考える借入人への貸付を行うことで『借入人から返済がある限りにおいて』一定の投資収益を受け取ることになります。

 

借入人は返済意思をもっていますが、収入状況や健康状態の変化などさまざまな要因で返済ができなくなる可能性がありますので、当社ファンドが予定通りに投資家様に分配金をお支払いできるか否かは、借り手の側の延滞発生率や債務不履行発生率の影響を受けます。

 

当社ではファンド組成にあたり、プラットフォーム運営者から受領した過去の貸付金利・過去の延滞や不履行による損失データを検証して期待利回りを計算しております。しかしながら、過去データを大きく上回る延滞債権や不履行が発生した場合、実際の投資利回りが期待を下回ったり元本割れが生じる可能性もございます。

この個人向け貸付はユーロ建てで行われておりますが、ユーロの政策金利の一つであるMain Refinancing Operations Minimum Bid Rate (リファイナンスオペの最低応札金利)は2016年3月10日に0.00%へと引き下げられておりますので、当社の「欧州3カ国個人向けローンファンド」が高金利である理由は上記のうち<<借り手の信用力が低いために高金利になるケース>>に該当することがわかるかと思います。

 

投資家のみなさまにおかれては、各運用商品のもつリスクを十分に把握されたうえで、投資の意思決定を行っていただければ幸いです。


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