投資型クラウドファンディングのプラットフォームで購入した株の売却はいかに?
投資型クラウドファンディングのプラットフォームの進歩によって、人々は以前と比較すると容易に株を購入することができるようになりました。しかし、それを売却、現金化しようとする際には注意が必要です。
従来、エンジェル投資家やベンチャーキャピタリストがスタートアップ企業の株を購入する際には、その企業が買収される、もしくは上場する時に、株を売却して現金を得る、というのが一般的な利益獲得方法でした。
しかし、全てのスタートアップ企業が買収されたり、上場するわけではありません。クラウドファンディングを通じて資金調達をするようなスタートアップ企業のビジネスモデルは、買収や上場に適していない場合も多くあります。このような場合は、上記に挙げたような従来の現金化の方法が通用しません。
特に「非適格投資家」(*1)の投資家は注意が必要です。「適格投資家」の投資家は、投資型クラウドファンディングのセカンダリ市場において買収や上場前の株式の売却が可能です。米国においてはPeer Realityが初の投資型クラウドファンディングのセカンダリ市場として、Crowd Finance Exchangeサービスを開始しました。しかし、Peer Realityのようなセカンダリ市場において株を売却できるのは「適格投資家」のみであり、「非適格投資家」はこのセカンダリ市場を使うことができません。よって、「非適格投資家」は、投資したスタートアップ企業が買収されるか上場するまでは、株を保有し続けなければいけません。このことにより、投資型クラウドファンディングにおける資金の流動性が限られてしまっている事が問題として指摘されています。
適格投資家と非適格投資家の投資型クラウドファンディング株の購入と売却
投資型クラウドファンディングによって人々がより簡単にスタートアップ企業に投資できるようになったことは好ましいことです。しかし、購入した株式を売却することが難しければ人々は投資を躊躇うでしょう。投資市場の活性化の為には、上場前の株式も容易に売却できる制度の設計が必要です。
*1:米国では、証券取引委員会の規定によって、①100万ドル以上の資産がある、②過去3年のうち2年間の間20万ドルの収入があった(夫婦合算の場合は30万ドル)のふたつの条件を満たす個人投資家を「適格投資家」(Accredited Investor)、それ以外を「非適格投資家」(Non-Accredited Investor)と定めている。
出典・参考:
https://peerrealty.com/blog/crowdfunding-rules-and-regulations-506b-vs-506c
Non-Accredited Equity Crowdfunding Investors Need a Path to Liquidity
http://www.entrepreneur.com/article/247832