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日本で1番グローバル化が必要な市場は、貸金市場

クラウドクレジットの杉山です。

当社は世界の信用市場に投資を行う機会を日本の個人投資家の方に提供するサービスを運営しています。

日本では事業としては1円も与信を行っておらず、サービスの立ち上げ当初から海外で活動を始めました。

こういった活動を行っている中で気づいたのが、もちろん東南アジアに活躍の場所を移している同世代の起業家も年々増えてきていると感じてはいるものの、当社よりはるかに先を行って急成長を遂げられている先輩起業家の方の話を伺っていて、多くの方は本心ではグローバルを考えていないと気づきました。

アメリカと中国の市場は別格としても、やはり現時点でみれば人口が1億2000万人いて平均所得がこれほど高い国はまだ世界に他にありません。

国内の成熟市場で既に一定のシェアをもった大手の企業であればさらなる成長を目指して海外展開を行うということは魅力的な選択肢かもしれませんが、新たな市場を作りブルーオーシャンを渡っていくベンチャー企業にとっては、やはり様々な分野において日本は世界で3番目に魅力的な市場であり、その国の言葉や慣習を肌感覚でも知っていて、人脈もあり、情報の取得も様々なメディアからリアルタイムで行いやすいとなると、それを生かさない(日本で事業を行わない)手はないということになるのかと思います。

しかし、貸金市場は違います。

通常シニア層が大きな金融資産を持ち、若年層が起業等で資金調達需要がありますから、人口ピラミッドの形状が逆ピラミッドになってしまっている日本は、完全に資金の供給過多になってしまっています。

VCファイナンス等、資金の絶対量だけ多くてもリスクテイクを行うに際してのノウハウがまだ浸透していない等の理由でまだまだこれから急成長して行く金融投資分野はあると思いますが、会社勤めの個人や街角の八百屋さん、文房具屋さんに貸付を行う貸金は、完全に資金過多によって金融機関等が低金利貸付競争を行っているため、資金調達需要者の観点からは、(マクロ的には)ベンチャー起業が入り込む余地はないですし、社会的要請もないといえます。

アメリカではソーシャルレンディングが爆発的に成長していますが、移民が多いこともあって3億2000万人の人口のうち6000〜7000万人が金融にアクセスがないといわれ、また5000行ほどあると言われる金融機関のうち400行ほどの中小金融機関が年々厳しさを増す規制コストに耐えきれず破産プロセスにはいっているという状況で、ソーシャルレンディングという新しい仕組みを用いて社会にお金をまわすという社会的要請があります。

(またアメリカでは日本のように15%という低すぎる上限金利もないため、「facebookのデータを用いて6分間で審査して27%の金利で貸付を行います!」といった斬新なサービスも既に実用化されています。)

もちろん、現在は市況が良いこともあり不動産投資事業に貸付を行うソーシャルレンディングが日本でも非常に活発になってきており、この分野は日本も世界と歩調を合わせて急成長がはじまっているといえ、非常にすばらしいことだと思っています。

その一方で、やはり個人や中小企業の資金調達ニーズを満たす金融を進化させていくということは、国内で新規に貸し付けを行う機会があまりに小さいため、これを国内市場で行うのは現実的でないといえます。

そのためこの分野で活動を行うクラウドクレジットは、サービスの開業当初から海外市場で活動を行うという、韓国、シンガポール、フィンランド等のベンチャー企業と同じ道を歩むことを選びました。

実際に海外で活動を行うと、事業内容が金融活動ということもあり新興国では若干警戒のギアを上げる必要が実際にはありますが、特に先進国では言語の壁がなければ、国ごとの制度やカルチャーの違いから留意すべき点というところもわりかし早い段階でつかめると感じています。

貸金市場は日本国内の市場規模が小さすぎるということでグローバル化のトップランナーになると思うので、これから他の分野のベンチャー企業が国際展開を行う際の参考にしていただけるように活動を行って行ければと思っています。


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