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新ファンドのリスクとリターンの関係につきまして

 

クラウドクレジットの杉山です。

 

当社は430日に、イタリア、スペイン、フィンランドおよびエストニアの個人に対して消費者ローンの貸付を行うファンドの販売を開始いたしました。

 

今回販売を開始したファンドはそれぞれリスクとリターンの特性が異なるため、こちらのブログでご説明させて頂きます。

* フィンランド、エストニアの上限金利はそれぞれ50%、70%であり、Crowdcredit Estonia OÜは3か国(リスク追求)においては主にこれらの2か国に重点を置いて貸付を行います

 

まず、現在販売中の4つのファンドの中で最もリスクを抑えるかたちで組成を行っているのがイタリアで消費者ローンを貸し付けるファンドですが、こちらは消費者ローンの貸付を行うにあたり、貸し倒れがゼロに限りなく近づくことを目指しています。

 

イタリアでは2008年のリーマンショックに続く欧州危機以来、年を追うごとに強まる国際銀行規制の影響もあり、伝統的な銀行部門は継続的に貸し出しの縮小を余儀なくされており、信用情報に問題のない個人、中小企業までもが借り入れを行うことが難しくなってきています。

ソーシャルレンディングというと銀行が貸せない層の個人、中小企業に対して貸付を行うというイメージがまだ強いかと思いますが、伝統的な銀行部門の縮小にによって旧来であれば借入ができたのに現在借り入れができなくなっている方々に貸付を行うことで彼らは再びクレジットへのアクセスを得ることができ、投資家の方も信用力のある人々に貸付を行うことが可能になってきています。

 

これに対して、同じく現在販売中のスペイン、フィンランドおよびエストニアの3か国の個人に対して消費者ローンの貸付を行うファンドでは、より貸し倒れリスクの高い個人に対しても貸付を行っていくことで投資としてアップサイドをとりにいくことを目指しています。

 

より貸し倒れリスクの高い層に対して貸付を行っていくということで、当社はisePankur AS(イシャーパンクール・アーエス)というエストニアに本拠をおき統計的な信用スコアリングに強みを持つソーシャルレンディング業者と提携を行うこととしました。

 

isePankur ASはBondoraというソーシャルレンディング・プラットフォームで欧州の個人投資家からもお金を募っています。

 

isePankur ASは借り入れの申し込みをオンライン上で行ってきた資金需要者に、独自の信用スコアリング手法を用いてスコア付けを行います。

 

信用スコアリングのプロセスはスペイン、フィンランドおよびエストニアにおいて国ごとに別のものを構築して用いており、国ごとの特性に合わせるということを行っています。

 

信用スコアリングの詳細は消費者ローンを行うソーシャルレンディング業者にとって競争力の源泉となるところですので公表させて頂けない部分も多いのですが、日本ではちょうどゼロ金利時代に突入してしまったことで残念ながら普及が阻まれてしまったものの世界では2000年代に入ってどんどん広がっていった統計的手法を用いた信用スコアリングについて、別のブログで別途ご説明させて頂きます。

 

isePankur ASは国ごとの信用スコアリング・モデルに従って計算された各資金需要者が貸し倒れる確率ごとにAA、A、B、C、D、E、F、HR(ハイリスク)の8つのグレードに分類しており、今回当社はこのうちグレードがAA、A、BおよびCの資金需要者のみに貸付を行うファンドを「リスク低減型」として、グレードがC、D、EおよびFの資金需要者のみに貸付を行うファンドを「両方追求型」として、グレードが最もリスクの高いHRである資金需要者のみに貸付を行うファンドを「リターン追求型」として販売させて頂いています。

 

お客様からはよりアップサイドとしての期待リターンの高いファンドに対するご要望を強く頂くことが多いですが、お客様の資産運用におけるクラウドクレジットのファンドへの投資の位置づけを今一度ご考慮いただいた上で、上記の4つのファンドから最もご自身の投資方針にフィットするものにご出資を頂ければと思っております。

 

また、スペイン、フィンランドおよびエストニアで消費者ローンを貸すファンドのうち「利益追求型」は今回販売させて頂きますファンドの中でも最も期待利回りも高いものの当然リスクも高いため、ソーシャルレンディングに投資を行う上級者の方のみに絞って出資頂ければという当社からのメッセージとして、最低出資金額は50万円とハードルを高めに設定させて頂いています。

 

isePankur ASはグレードがHRの資金需要者に対して平均で66%程度の金利で貸付を行う一方でグレードがHRの資金需要者への貸付の45%程度が回収不能になると予測しており、期待損失率のぶれ幅は「リスク低減型」や「両方追求型」より大きいことが予想されため、ウェブサイト上等で当社がお示しさせて頂いている期待リターンを実現できない可能性は4つのファンドの中で一番高いです。

 

なお、イタリアで消費者ローンの貸付を行うファンドは、より貸し倒れる可能性の低い資金需要者に対して貸付を行っていくため、これからソーシャルレンディングへの投資を初めて資産運用の幅を広げようとしている方にもより幅広くご出資を頂ければと考え、最低出資金額を、当社がいままでのファンドにおいて設定しておりました10万円の半額の5万円とさせて頂いています。

 

次回のブログでは、各ファンドのより細かい特性や日本では残念ながら(市中の金利水準が低すぎるがために)まだ広まっていない統計的な信用スコアリング手法についてご紹介できればと思っています。

 

またお客様から新しく販売されるファンドについてご質問を頂けましたら私や商品組成の担当者からブログ等にてご回答させて頂ければと思っていますので、ご質問等お待ち申し上げております!!

 


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