あの世界最大のクラウドファンディングサイトが大胆発表!
クラウドファンディングの代名詞といえば
2大クラウドファンディングサイトといえば、KickstraterとIndiegogo。両者とも米国発の報酬型クラウドファンディングと呼ばれるものであり、プロジェクトへの出資の報酬として金銭以外の商品やサービスが投資家に与えられるプラットフォームです。Kickstarterでは年間8万ものプロジェクトが登録され、約615百万ドルが投資されました。
Indiegogoも2015年は17万のプロジェクトに対して226カ国から2.5万人もの投資家が出資を行いました。開始から5年以上も経つこれらのプラットフォームの利用者は年々右肩上がりで増え続けており、その勢いは衰えるところを知りません。
今年、ジョブス法第三編がようやく可決
一方で、米国では2012年に執行されたジョブス法(Jumpstarting Our Business Startups: JOBS)の第二編により、投資型のクラウドファンディングが可能となり、クラウドファンディングを投資のツールとして考える気運が高まりました。しかしこれらの投資型クラウドファンディングプラットフォームでは、一定の収入や資産のある適格投資家にしか、投資権が与えられません。また、企業側も比較的一口あたり大きな額を募集する傾向にありました。
2013年と2014年の2年間、1,400の企業がジョブス法第二編の恩恵のもと、総額600百万米ドルの資金を投資型クラウドファンディング上で集めたと言われていますが、企業の殆どがすでに実績のある確立された企業であると考えられています。一社あたり平均約43万ドルが調達されていることからも、信用力の高いそれなりに資金力のある企業が大口の投資を受けられたのではないでしょうか。ジョブス法第二編は、ベンチャー企業のスタートアップを盛り上げるためのものではなかったのです。
しかし、米国は今年、ベンチャー企業の資金調達の機会を増やすであろう、同法の第三編をようやく可決。これにより、誰もが投資型クラウドファンディングに投資できるようになり、企業側もより多くの投資家から、比較的小口の資金を集めることが可能になったのです。
ジョブス法の概要
ジョブス法第三編制定によるIndiegogoの戦略とは
Indiegogoはこの機会を見逃しませんでした。2016年6月にジョブス法第三編が制定されるや、同プラットフォームは、投資の代わりにモノやサービスを受けられることに加え、投資もできるクラウドファンディングサイトに生まれ変わるとの発表を行いました。
これはIndiegogoの利用者にとって何を意味するのでしょうか。2013年にIndiegogoにて約2百万ドルを集めた会社に、Scanaduという健康モニタリングデバイスの開発企業があります。同社はその後、ベンチャーキャピタルファンドから45百万ドルを募ることができましたが、もしIndiegogoで小口の投資を受けることができていたら、ベンチャーキャピタリストを頼ることはなかったかもしれません。
また、Indiegogoで報酬型の資金を集められた企業が全て、Scanaduの様にベンチャーキャピタル投資を得られるとは限りません。ベンチャーキャピタルのお眼鏡に適う小企業は僅か1%、エンジェル投資家のそれも3-4%と言われています。このために、残りの約95%の企業にとって、ジョブス法第三編は、資金調達の可能性を広げるものとして期待されています。
Indiegogoは、報酬型クラウドファンディング利用者、投資型クラウドファンディングに関心がある企業や投資家、両方を自らのプラットフォームに取り込もうとしているのです。一方、Kickstarterは、現在のところ報酬型クラウドファンディングに特化するとの声明を出しています。利益追求の概念をKickstarterに持ち込むのは、自社のビジョンを揺るがすことになり兼ねないとの見解を述べています。
日本でも人気の報酬型クラウドファンディングの未来は
日本でも、READY FOR?やCAMPFIREなどの報酬型クラウドファンディングが定着しはじめています。READY FOR? のこれまでの出資者は約17万人、CAMPFIREも10万人以上が資金を提供しており、IndiegogoやKickstarterのように年々サイトを利用する人々が増えています。
これらのプラットフォームを通じて、組織や会社のプロジェクトを応援したことのある人の中には、今度はこれらのプロジェクトに投資をしたい、と思う人もいるのではないでしょうか。もしかすると将来、日本の報酬型クラウドファンディングも投資サービスを開始する日が来るかもしれません。
参考:
Icopartners (2016) Kickstarter in 2015 – Review in numbers
Indiegogo (2015) Indiegogo’s 2015 Year In Review [Infographic]: Crowdfunding Statistics
Fastcompany (2015) Indiegogo Is Getting Ready for Equity Crowdfunding
Invigor (2013) Our Thoughts on the Proposed Crowdfunding Rules
StartiFund (2016) Equity Crowdfunding
Launch Tennessee (2016) Equity Crowdfunding Panel