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保険に近い?途上国における個人向けローン

クラウドクレジットの杉山です。

こちらのブログでは度々、「途上国の中小企業の利益率は高いので、中小企業向けの貸付は追加資本を提供できるというところの価値が大きく、金利の水準は二の次」ということをご説明してきました。

中小企業の場合は「日本だと文房具屋を開こうにもそこら中に既存の文房具屋やコンビニエンスストアがあって儲かりっこないけど、途上国でスラムが町のようになってきたところに文房具屋ができれば、他に買いに行くところがない中でみんながこぞって鉛筆、ボールペンを買いに来るので利益率はかなり高い」という説明は直観的にもわかりやすいと思います。

 

 

しかし個人向けのローンのほうは、「テレビを買うのに高い金利を支払って何かいいことがあるのか?」と思われるのではないかと思います。

 

個人向けローンの資金使途は

この点も10年ほど前に開発経済の分野で論点となり、実証研究が行われました。

その結果は、個人向けローンの借り手は多くの場合において

  • ●通勤に用いる車やバイクの修理費用
  • ●田舎の実家の親戚が急遽お金が必要になってしまい、そこへの仕送り

を借り入れたお金の資金使途としていることがわかってきました。

 

 

研究では、個人向けローンへのアクセスがない人は通勤に用いる車やバイクの修理費用がないためバスなどの公共交通機関を通勤に用いることになりますが、途上国の公共交通機関は簡単に大幅に遅延し、会社にしょっちゅう遅刻してひいては職を失うことが多いそうです。

また個人向けローンへのアクセスがない人は田舎の実家の親戚が急遽お金が必要になった場合、仕送りするお金がないので、自分自身が今の仕事をやめて田舎に帰って親戚を助けてあげるという行動をとっていることがみえてきました。

保険としての個人向けローン

途上国においては都市部で会社に勤めて来月も来年もお給料がはいってくるようになることが、貧困から抜け出すために非常に重要と言われています。

 

 

そのため個人向けローンは、通勤の問題や親戚のサポートといった突発的な事象によってまた貧困に戻ってしまうリスクをヘッジする保険のような役割を、個人向けローンの金利はその保険料として解釈することができます。


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