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カメルーン中小企業支援プロジェクトから見るアフリカ 第2回

前回の記事では、クラウドクレジットのパートナーOvamba社が、アフリカの中小企業支援戦略として、輸入をビジネスとする港湾・空港地域周辺の企業をターゲットとしている理由についてご紹介しました。

今回はOvamba社のビジネスモデルや経営戦略についてより詳しくご紹介いたします。

 

スピーディな融資実行
Ovamba社は、優良な顧客を入念に選び抜き、彼らのニーズにスピーディに応えることを強みとしています。銀行サービスとの差別化を図るためにも、1分で顧客の信用スコアを計算し、約3-9日後に融資を実行するなどの速さを売りにしています。また、厳しいリスク審査システムを設けているために、これまでに実行してきた融資100件以上に対して貸し倒れ率は3%以下を誇っています。

しかしなぜ、米国に本社を構えるOvamba社はアフリカ進出を果たすための拠点としてカメルーンを選んだのでしょうか。

 

CEMAC域内で唯一のプラス成長を果たしたカメルーン
2016年の経済自由度指数で、昨年度に対して2.3ポイントの上昇を見せたカメルーンは、アフリカの注目株です。これは、アフリカの中でも2番目に高い上昇率です。

 

出所:ヘリテージ財団、ウォールストリートジャーナル

 

加えてカメルーンは、中部アフリカ経済通貨共同体(CEMAC) の人口の47.1%、GDPの25.1%を占めており、経済圏外との交易のハブとして、重要な役割を果たしています。豊富な資源の輸出により支えられてきたCEMAC諸国の経済は、近年の石油価格の下落によりGDPはマイナス成長を記録。その中で、カメルーンは唯一6%の成長を見せた国でした。これは、石油産業に依存しない経済の確立を目指すカメルーン政府が、豊かな農産物や資源を活かした産業の多角化と競争力強化を促進していることが奏功しているようです。

同国政府は、中小企業振興も重要なテーマとしてさまざまな取り組みを行っています。2009年には、日本の支援で中小企業支援政策のマスタープランが作成され、同年、IFC(国際金融公社)もカメルーンの中小企業への融資を強化しました。2014年にはアフリカ開発銀行がマイクロファイナンス機関であるAdvans Cameroonに100万ユーロの融資を決める等、カメルーンの中小企業セクターへの注目は高まっています。カメルーンでは、登記されている企業の99%が、中小・零細企業であり、正規雇用の6割を創出、GDPへの寄与度は36%と、周辺国と比較しても高いことが注目されています。Ovamba社の顧客には、空港や港のある都市ドゥアラにオフィスを構える中小企業が多くあります。

2013 African Engineering for Development and Management

 

このように、Ovamba社はカメルーンの良好なマクロ経済状況や国内外の中小企業支援政策をバックにビジネスを展開しています。

今回は主にカメルーンの経済環境、政策環境について見てきましたが、前回の記事でも説明した様に、Ovambaがカメルーンに進出した理由はその周辺国においても好ましい投資環境が垣間みられるからです。次回はカメルーン周辺の状況についてもう少し深く見ていきたいと思います。

参考:Africanews. 2016. Central African countries struggle with budget deficit
MINPMEESA 2016.


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