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Brexitによる為替変動を受けてソーシャルレンディング投資をどうするか?

初めまして。今月入社し、資金運用を担当している金(キム)と申します。

資金を預けていただいている投資家の皆様に運用の現場から情報をお届けしたいと思いブログを執筆させていただくことになりました。投資にまつわる基本的なお話からソーシャルレンディング投資特有の話まで投資家様の要望にお応えしながら情報発信できればと思っておりますので、何卒よろしくお願いいたします。

 

 

 

EU離脱派が過半数を上回ったイギリス国民投票

現地時間2016年6月23日にイギリスで行われたEU離脱を問う国民投票では皆様もご存じの通り、離脱派が残留派を上回り、残留派だったキャメロン首相が辞意を表明するという結果になりました。直前の数日間に行われたアンケートなどでは残留派がわずかながら上回り安心感が漂っていたこともあり、結果的に離脱派が勝利したことが大きなサプライズとなりました。

結果が公表された6月24日は前代未聞の展開で先行きの不透明感から、金融市場ではリスク削減の動きが急速に進み、英ポンド円相場は一時前日の高値から26円以上も円高になり、ドル円相場も2年7か月ぶりに99円直前まで売られました。株式市場でも日経平均先物の下げ幅が1300円を超えサーキットブレーカーが発動するなど大荒れの展開となった一日でした。

かねてよりイギリスからの独立を求めるスコットランドはイギリスが離脱するならイギリスから独立しEUに残留することを示唆していることや、オランダの極右政党がEU離脱の国民投票を求めたり、当のイギリスでもやり直しを求める署名が300万人以上集まるなど今後の見通しもかなり不透明になっていることに加え、諸々の手続きを完了するには少なくとも2年かかるなど直ちに結果の出るものではなく今後も様々な影響が出てくると考えられます。

今後どのような展開に発展していき、どのような影響があるかについては引き続き注目し続けるとともに、当社においてもどうすべきかを日々熟慮する必要があると考えております。

また、このような状況において当社の商品、特に外貨建ての商品に投資していただいている投資家の方々には非常にご心配をおかけしています。

その中でソーシャルレンディング投資について、運用者の立場から情報発信をすることで今度の投資方針の何かに役立てていただけたらとこのブログを執筆させていただいています。

 

 

パフォーマンス向上のカギ!?投資商品と投資手法の相性とは

現在、巷には株、債券、投資信託といった有価証券から、為替、コモディティ、不動産、そしてソーシャルレンディングと、世間一般で投資商品と言われるものは数多くありますが、どの商品においても投資リターンはキャピタルゲインとインカムゲインの二つから構成されます。

また投資手法も様々で短期売買で値上がりを狙う手法、一度買えば長期間保有してその間の収入で稼ぐ手法、また積み立て投資などでその両側面を持つ手法もあります。

絶対的な決まりではありませんが、それぞれの投資商品と投資手法には相性があり、相性の良いものを選ぶことで投資パフォーマンスを向上させやすくなります。

 

ではどのようにして投資商品と投資手法の相性は決まるのか?

それはその商品の市場特性と投資リターンのキャピタルゲインとインカムゲインの割合(明確に決まっている数字ではなく投資家が考える大まかな割合)で決まります。

 

例えば、インカムゲインがほとんどなくキャピタルゲインを狙う商品(為替、コモディティ、配当のない株など)を意図なく長期間保有するのは、値動きの変動リスクが大きくなる一方で時間対比のリターンは限定的になりやすくなります。見込んだ通りの値上がりが起こらず結果的に長期保有になる場合こそあれ、理想的には値上がりが起こる前に購入して、値上がりが起きたら売却して利益を確定させるべきでしょう。

またインカムゲインの代名詞ともいわれる不動産、債券投資はその逆で長期間保有することで月々の収入を積み上げていくことでリターンが向上します。(過去数年間は不動産価格の上昇でキャピタルゲインも大きく取れましたが、長いスパンで見たときにこの動きは一時的で定常的に値段が上がるということは殆どありえません。)中には短期転売で利益を出す業者(不動産転売会社、ヘッジファンド等)も存在はしますが、一般の個人投資家の方々がその手法を模倣するのは現実的ではないと考えます。

 

投資家の皆様が相性の良い投資商品と投資手法の組み合わせをより多く持つことでより良いポートフォリオが構築されていくと信じております。

***投資手法に関しては“個人の好み”に影響を受ける部分もあります。短期売買が好きな方もいれば、一度保有すればじっくりと何年も持ち続けるのが好きな方もいます。自分の好きな投資手法にあった投資商品を選ぶことが大切で、投資商品に合わせた結果自分が嫌いな投資手法になる場合はその投資を実行しないという判断も時には必要です。

 


 

 

積み立て投資・長期保有の投資のパフォーマンスとは

では、ソーシャルレンディング、特に外貨建てのファンドにとって最も相性の良い投資手法は何なのでしょうか?

結論から言いますと、それは積み立て投資で長期間保有することと筆者は考えます。

なぜそうなるのか?それは以下の理由からです。

enlightenedソーシャルレンディングの利益の源泉は金利収入(インカムゲイン)であり、そのメリットを享受できるのは長期保有の場合が多いと思われるから。

enlightened外貨建てで為替変動の影響を大きく受けるので積み立て投資(ドルコスト平均法)で効率よく購入価格の平準化を実行できると考えられるから。

 

理由だけ説明してもややわかりにくいので、実例を挙げて検証してみましょう。

チャート.1をご覧ください。これはEURが現実通貨として発足した2002年1月から現在までのユーロ円の為替水準と6か月銀行間金利(EURIBORを利用)の推移です。
為替は2008年の1ユーロ169.49円から2014年の94.3円まで最大44.36%の下落を経験しています。金利も同じく2008年の5.448%から現在-0.161%まで低下してきました。

 

チャート.1

(出所:Thomson Reuters)

 

では、ここで筆者の提案する、長期の積み立て投資を行ってきた場合の投資パフォーマンスを見てみましょう。

投資条件として、2002年1月から毎月の初めに日本円で一定金額(例えば5万円)を投資し続けます。投資商品の利回りとしては6か月EURIBORに6%の上乗せを前提とします。現状5.839%、過去最大11.448%、平均7.93%で弊社の販売するファンドと比較しても想定の範囲内だと考えます。そして、6か月ごとに市場金利に応じた金利で再投資を行い現在まで継続します。(表.1参照)

表.1

(出所:Thomson Reuters)

 

チャート.2をご覧ください。これが上記の前提条件で投資実行した投資金額(日本円)を100とした場合の円貨でのパフォーマンスの推移です。(ユーロの投資パフォーマンスを当日の為替レートで円貨に換算しています)

比較対象として金利投資を行わず、ユーロを現金で持っていた場合のパフォーマンスも載せています。当然ではありますが、投資の有無にかかわらずチャート.1の為替推移と似た形状のグラフになっています。これは為替変動がパフォーマンスに大きく影響していることを示しています。

しかし、筆者が今回読者の皆様に注目していただきたいのは以下の2点です。

enlightened金利投資ありとなしの差は時間経過とともに大きくなっている…(1)
enlightened投資なしのチャートは為替推移のチャートよりも上下方向への振れ幅が比較的小さくなっている…(2)

チャート.2

(出所:Thomson Reuters)

 

(1)が起きる理由こそが金利投資(ソーシャルレンディング含む)の収益の根源であり、金利収益は時間をかけた分だけ大きくなります。ここではこの収益を本質的投資リターンと呼びます。チャート.3の本質的投資リターンの推移もご覧ください。
(2)上下の振れ幅が為替の推移と比べて穏やかになっているのは積み立て投資をすることで購入コストが平準化され比較的為替変動による影響を抑えることができているといえます

 

チャート.3

(出所:Thomson Reuters)

 

以上のことから筆者はソーシャルレンディング投資では長期の積み立て投資が最も相性の良い投資手法と考えおり、為替変動が大きくても小さくても一定の投資を継続することが安定したパフォーマンスに貢献する可能性が高いと考えております。

 

今回イギリスの国民投票の結果をうけて急速な円高が進行した結果、現状当社で販売した外貨建てのファンドのパフォーマンスは他の外貨建て資産と同様に低下しております。ファンドの特性上、償還時の為替水準によってパフォーマンスが決定するため今後の為替の動向によってはさらに低下する可能性も、パフォーマンスが改善する可能性もあります。

ただし、現地通貨で見た場合は貸し倒れ率が急騰しない限りにおいては、期待通りのパフォーマンスを実現するであろうと考えており、現在時点では貸し倒れが予想以上に発生しているといった事実は見受けられません。

外貨建てソーシャルレンディング投資を行ううえで為替変動による影響は不可避である一方、長期投資がその影響を受けつつもパフォーマンスを安定させる方法だということは疑うことのない事実です。

今回の円高局面は外貨建て資産を持つ方にとっては大きなダメージとなっていることは事実ですが、長期積み立て投資を実行する立場から言えば、全体の購入価格を抑えられるチャンスであることもまた事実です。外貨投資そのものをやめるのであれば、償還された資金を円建ての資産(預金を含む)に振り替えるという選択肢もありますが、長期で外貨投資を継続するのであれば、償還資金は当社ファンドにかかわらず同じ外貨資産での運用を継続するというのが第一の選択候補だと考えます。

また、短期的な為替の変動リスクをとることで投資リターンを得ることを最優先するのであれば、満期が決められている当社のファンドではなく、任意のタイミングで売買可能な商品を投資対象とするべきであると考えております。

当社商品へ投資をいただいている、もしくは投資を検討していただいている投資家の皆様には、為替の変動リスクは十分にご認識していただきながらも、長期投資で金利収入を得ることに賛同、もしくは少しでも共感していただけていると思っております。同じ志を持つ投資家の皆様に長期投資で安定的なパフォーマンスを実現するため運用者として粉骨砕身努力させていただきますので、何卒、息の長いお付き合いをよろしくお願いいたします。

 

ご精読ありがとうございました。

当ブログでは引き続き、投資家の皆様に運用方針の参考になればと運用担当者から情報発信を続けさせていただきます。

ご意見・ご要望などがございましたら、お問合せページよりご連絡いただければ幸いです。Facebook、Twitterのオフィシャルページにメッセージをお送りいただいても対応させていただきます。


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