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LendIt Europe 2015レポート参加報告

こんにちは 商品組成担当の氏家です。私たち商品組成チームでは、日本に紹介されていない新しい投資機会を皆さまにお届けすべく、世界各地のパートナーと協力しながら商品を企画しています。

今回は商品チームが参加したLendIt Europe in Londonについてお話します。

 

LendItとは

LendItとは、ソーシャルレンディング業界関係者が一堂に会するイベントで、米国、中国、ヨーロッパを拠点に開催されています。今回会場のロンドンでは10月20・21日の2日間にわたり最新動向を踏まえた講演やパネルディスカッションと展示会が行われヨーロッパ各国の関連企業283社が参加・出展しました。

当社としても業界内の情報収集と認知度向上のために本イベントに参加しており、今回はブースも出展し、業界内で買収・倒産の事例も積みあがるなか業界が初期の創業ブームを経て次のステージに入っていることを実感しました。

 

LendIt Europe 2015

 

ソーシャルレンディング業界をリードするイギリス

 

ソーシャルレンディング業界の歴史は新しく、老舗のイギリスZopa社といっても創業10周年を迎えた程度です。
しかし、当社ブログでも紹介しましたが、イギリスではソーシャルレンディングへの投資に、NISAのモデルとなったISA(個人貯蓄口座)制度が適用されるなど法整備が進んでおり、金融サービスとして存在感を増しています。

実際ソーシャルレンディングと既存金融機関との協業も生まれてきており、Zopa社も、商業銀行であるMetro Bank社の窓口となり仲介手数料を得ている事業モデルを紹介していました。

また、とくに同国のFunding Circle社は世界的にも大手の一角を占めており、今回のイベントではドイツの中小企業レンディング大手Zencap社の買収を発表し、話題を集めていました(*)。

 

 

ヨーロッパから周辺各国にひろがるサービスと新規事業者たち

本イベントの参加関係者は地域的には、すでに一定の地位を確立した主にイギリスと欧州大陸のレンディング事業者に加えて、新興の北欧、東欧、CIS諸国※を中心とした新規参入事業者が数多く登壇していました。

おもしろいところでは、ある新興国の企業は複数のクレジットカード履歴など分散した不完全なデータを集積し独自の個人信用情報システムを構築することで、多国展開を実現しており2012年ごろ創業ながらすでに150名の従業員を抱えるほど拡大していました 。

 

ソーシャルにとどまらないレンディングサービス

今回2日間のイベントでは金融機関や個人投資家を招いたパネルディスカッションやソリューション企業によるサービスデモまで幅広く網羅されていましたが、個人的にはソーシャルレンディングから発展した新しいサービスの情報がイベントに参加した一番の収穫でした。

たとえば個人間の資金需給をつなぐのが狭義のソーシャルレンディングですが、中小企業の売上債権や、生産者と遠隔地の客先をつなぐ資金繰りにまで個人の投資機会をインターネット上で提供するといった具合です。

また一方で、金融事業者が自社資金による貸付を『バランスシートレンディング』と銘打ち、いわゆる事業者ローンをブランディングしなおして急速に業績を拡大しているなど、彼らのマーケティングの上手さも感心しきりでした。

 

最後に

 

このように当社とさほど変わらない時期に設立したヨーロッパの各社が、大きく成長し、変化を遂げる様を応援したい一方で、いまだ黎明期である日本市場での既存金融機関との協業のあり方や、今後提供すべき商品ラインナップ、あるいは自社サービス改善のために必要なツールとは何かを改めて考えさせられるイベントでした。

 

(*)Zencap社は今年9月に2億3000万ユーロ(約300億円)の貸付資金の確保を発表したばかりでもあり、当方としても両社間でどのような経営判断があったのか興味深い提携です。

※CIS諸国 ソ連崩壊時に、ソビエト社会主義共和国連邦を構成していた15か国のうちバルト三国を除く12か国(発足当初は10か国)によって結成されたゆるやかな国家連合体

 

おまけ

 


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