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腐敗認識指数(Corruption Perceptions Index, CPI)

=腐敗認識指数について=

 

クラウドクレジットで管理部長をしております竹中と申します。
 
たまたま今年3月にさる業界団体からの依頼を受けて「外国公務員への贈賄リスク」に関するテーマで講演を行った際に「腐敗認識指数」なる指標を紹介したのですが、あながち弊社のビジネスとも無関係ではないので、ここで取り挙げたいと思います。
 
 
 「腐敗認識指数(Corruption Perceptions Index, CPI)」とは、トランスペアランシ―・インターナショナルという国際的NGOが毎年、国や地域別にその公的部門がどの程度腐敗しているか、点数化して毎年ランキング形式で公表しているもので、この分野では国際的に認知されている指標です。
 
 
 
例えば、2016年度の上位(クリーンな国)3ヵ国は、デンマーク、ニュージーランド、フィンランドです。上位にくる国は、北欧等の比較的小国だが、先進国にはいるような国がランクされております。
因みに、米国は18位、英国は10位です。
 
 
日本の順位は、1995年ランキングが開始された当時は、大蔵省の接待問題等で国家公務員の倫理が揺らいでいた頃でしたが、1998年の25位を底に、2000年に国家公務員倫理法が施行されて以降ランキングが上昇してきました。
しかしながら、2011年の14位をピークに最近また地方政治家の政務調査費や文科省の天下り問題(天下りは賄賂と同等に「腐敗」と扱われます)で下降傾向(2016年度:20位)にあります。
 
弊社においては、通常取引開始するに先立って行うデューデリジェンスでは、取引相手の信用リスク、レピュテーション・リスク、法的リスク、税制等の調査と確認を行うわけですが、とりわけ新しい国に進出するケースで、当該国の公的部門と関わる場合(監督、許認可等)はこの指数を足掛かりにその公的部門の腐敗度を調査しておく必要があると考えられます。
 
途上国の場合、取引相手の名刺の企業名が民間企業のようであっても実は政府関係機関である場合があります。
賄賂を贈ってしまったリスクとしては、当該国の贈賄関連法令に抵触し、処罰される可能性があると同時に、米国のFCPA(Foreign Corrupt Practices Act)に基づき、米国の司法省に摘発される可能性があります。
 
 
 
この法律の適用範囲は極めて高く、例えば、たまたま米国出張中の日本企業のビジネスマンが電話等で第三国の公務員(広義の公務員:政治家。裁判官含む)に賄賂を贈るよう指示した場合や、賄賂を米国銀行経由で贈る場合も可能性があります。
有罪となった場合極めて罰金(法人)が重く、2011年日本のプラント建設会社の場合、訴追猶予(Deffered Prosecution Agreement: 司法取引の1種)の結果、2億1880万米ドルの罰金を支払っております。
 
なお、域外適用される法令として、FCPAの他、英国のBribery Act(罰金の上限なし)や日本の不正競争防止法18条(罰金の上限3億円)も考慮する必要があります。
 
 
弊社の場合、すでに先進国、発展途上国を含め多くの国に進出していますが、今後もさらに多くの国に事業展開していきますので、特に商品組成や運用に関係する部署において、このようなリスクも配慮した形で業務提携交渉や資金運用交渉を進めていく必要があると認識しており、今後も適切なガバナンス体制を強めてまいります。     
                                              
 
以上
 

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