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フリマサイトの現金売買とファッションECサイトのツケ払いの行方  ソーシャルレンディングの「中の人」が注目する最近の金融トピック

 

ソーシャルレンディングとは、近年注目を浴びている新たな投資手法、資産運用手法です。日々、新たな資金の流れを探し求めるお客様からの問い合わせがあり、業界関係者もビジネスの仕組み作りに精力的に情報収集を行っています。

そのような金融業の先端を走るソーシャルレンディング業界にあって、海外投資を生業とするクラウドクレジットの「中の人」である著者が、最近注目している出来事・サービスについて、若干の考察とともに紹介をしてみたいと思います。

 

フリマサイトの現金売買

4月下旬にとあるフリマWebサービス上で現金の売買が話題になりました。現金が出品され、その現金が額面以上の金額で落札されたという取引です。もちろん、当該サービス運営者は、貸金業法等やライセンスの観点から即座に適切な対応を取り、現時点においては同様の売買を実施することはできません。

 

この取引は、古くはクレジットカードの現金化と呼ばれた行為に類似するのですが、現金を「今」「手元に」おくことに対して、額面以上の価値を置くニーズがこの取引の根源的な誘因だと考えられます。

金融屋の視点から見た、現金を「今」「手元に」おくことに対して支払われる手数料の代表は「金利」なのですが、この「金利」に相当するものは様々な形で世の中に現れます。

 

その一つの例が、当該フリマサイトでの現金売買取引であり、クレジットカードの現金化と呼ばれる取引なのだと思います。決済までの期間に対して、決済金額と「今」「手元に」届く現金の差額が支払われるのです。

著者がフリマサイトでの取引について面白いと感じた点は、フリマサイトという個人間取引市場において、その値決めがなされたという点です。

 

著者が改めて申し上げるまでもなく、フリマサイトにおける商品の取引価格は売り手と買い手の相対合意による価格になります。上述のような現金取引は、著者の理解だと「金利」取引に類似するのですが、これがフリマサイトでなされたということは、金利の相対取引が成立したということであり、ここ数年各国で勃興している「P2Pレンディング*」というサービスとの類似性を否応なく意識してしまいます。

*P2Pレンディング= Peer to Peerレンディング。お金を借りたい個人/中小企業と貸したい投資家のマッチングを行うサービス

 

ファッションECサイトのツケ払い

ファッションECサイトが最近始めた「ツケ払い」サービスについても、「決済までの期間」に対する「手数料の支払い」という点で注目しているサービスです。定額300円(税抜)の支払いにより2か月後まで支払いを猶予されるというサービスは、「今」「手元に」届く商品に対する支払い期限を300円という手数料で購入する行為です。

 

2か月間で300円という金額については、ファッションECサイトの平均購入価格である8,000円で年利に換算してみると20%超との計算になります。この金利類似の計算をもとに「2か月間で300円」の経済合理性を考える人と、実際の当該サービスの利用者が考える妥当性については隔たりがあるのでしょう。著者個人はこのサービスの伸長を期待する者です。

当該サービスは法令・規則に違背するものではないですし、運営者は自社の顧客ニーズに合致するものとしてこのサービスの導入を決定しているはずなので、一定の需要を獲得することはできると思います。また、実は海外でもECサイトで同様の与信ビジネスは急速に成長しており(ツケ払いのみならず割賦販売の形態もあり)、著者が勤めるクラウドクレジットにも類似の企業から提携の話が多く届きます。

このような企業の各国での成長性には驚かされるばかりですし、その審査方法や担保としての購入商品の取り方・現金化の手法は千差万別で非常に面白い企業が多いと実感しています。

 

日本のファッションECサイト(実際には提携業者)がどのような審査や担保の取り方をしているのか、消費者にとってクレジットカードによる決済方法とどのような競合関係が生まれるのか等々、本件についての興味はしばらく続きそうです。

 

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