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コンプライアンスブログ第2回 
ソーシャルレンディングにおける「悪い人リスク」排除の取り組み

法務コンプライアンス部長の鈴木(通称「タッド」)です。

コンプライアンス部の日常のお仕事で、お客さまのためにやっている具体的な内容をお話しするのがこのシリーズですが、今回は第1回目ブログで「・・・・次のような問題点がないかも気になるのではないでしょうか。」と列挙してありました次の2つのことについて述べてみたいと思います。

(1)    投資したお金が、悪い人達にわたって良からぬことに使われていないか?
(2)    投資したお金が、悪い人達のお金と一緒くたに運用されていないか?

 

私は一応部長でありますので、堅く(権威づけのため?)専門用語を使って説明することをお許しください。
(1) について、私たちがやっていることは、投資先が「マネーロンダリング行為」に関係していないか。また「反社会的勢力」に関係していないか。を調査する。
(2) については、業界用語でKYC(Know Your Customer)と呼ばれているのですが、なんのことはない「お客さまのことをよく知りましょう」ということです。堅く言うと「顧客の属性調査をする」となります。

 

 

さて、では、ここからは少しくだけて、私たちの(1)と(2)に関係しているお仕事について、ご説明いたします。

 

1)投資したお金が、悪い人達にわたって良からぬことに使われていないか?

当社グループでは、商品開発は商品部の仕事ですが、その担当者から海外の「〇×△●」という会社と「ΣΘΨΩ」さんと「ΔΣΦδ」さんという人を調べてくれない?

という依頼を時々受けます。ちなみに、「ΣΘΨΩ」さんと「ΔΣΦδ」さんはその海外の会社の社長さんとか役員さんです。

この依頼があると「この会社が関係しているファンドを近々売るつもりだな」と思います。

商品部では、日ごろから世界中の複数のソーシャルレンディングに関係している業者とコンタクトを取って、その会社の業務内容、財務状況、利回り実績などを調査しています。

 

専門(権威づけ?)用語でいうと「デューデリジェンス」をするといいます。

調査している会社はたくさんありますが、利回りが低い、とか、まだ赤字業者で財務体質が悪い。という業者は次々に弾かれていきます。その中で「これはいけるかも」という業者が出たときにはじめて「この会社とこの人とこの人を調べてね」となります。

 

私たち法務コンプライアンス部の「ずんこ」さんか「ヨモP」さんは、世界的なデータベースを持っている某企業のクラウドサービス上で(そのサービス名は企業秘密です。すみません)、商品部から依頼された「〇×△●」会社、「ΣΘΨΩ」さん、「ΔΣΦδ」さんを入力して検索します。そうすると、過去に各国の警察にごやっかいになったり監督官庁から処分を受けたりした場合、それがヒットして出てきます。

 

ちなみに、過去において商品部が「これはいけるかも」と目をつけた会社や役員さんでヒットしたことはありませんでした。

 

そうしてその会社や役員さんに犯罪歴や法令違反歴がないことを調査して、私たちは「大丈夫ですよ」と商品部に伝えます。そして初めて、ファンド組成に向けてその会社との本格的な交渉が始まる。ということになります。

 

(2)投資したお金が、悪い人達のお金と一緒くたに運用されていないか?

これについて考えられるケースは、①「悪い人」が当社グループのファンドでお金を増やしたいと思ってご登録をしてきた場合と②「悪い人」が「いい人」になりすましてご登録してきた場合です。

①のケースの場合は、上記(1)投資したお金が、悪い人達にわたって良からぬことに使われていないか?の章でご説明した世界的なデータベースを持っている某企業のクラウドサービスを同じように使います。
検索のために入力する「〇×△●」会社、「ΣΘΨΩ」さんのところが、ご登録してこられたお客様の会社や名前になるだけです。

 

過去の検索結果は? といいますと、実はヒットした方が数名いました。
しかしご安心ください。そのヒットした数名は「悪い人」と「同姓同名」でしたが、まったくの別人でした。なぜ判ったかといいますと、まず契約先データベース上に生年月日あるいは生年が記載されている場合には、年齢違いということで疑いがすぐ晴れます。

しかし、契約先データベース上では生れた年の記載なしの場合や生れた年が2年にわたって記載されていることがあります。これは新聞記事などを元にデータベースに登録する際に、その記事発表時の年齢が出ていても、その時点で誕生日が来ている場合と誕生日前の場合で「何年生まれ」という推測が複数になってしまうからだと思われます。

 

その複数年(2年)の生まれ年の中に、当社にご登録された同姓同名の方の生年月日が入っていた場合や、契約先データベース上で生年の記載なしの場合はどうするかといいますと、まずヒットした人が犯罪歴を持つ人である可能性がある場合は、インターネット上に出てくる当該犯罪の記事の時点の犯罪者の年齢を調べます。複数の記事がありますと、記事の発表時点での年齢が違っていたりします。

 

記事の発表の月と照合して表を作るとその「悪い人」が「何年の何月生まれ」ということが段々と明らかになってきます。それでも断定できない場合には、事件の管轄の警察署に照会したケースもあります。

 

私が、ヒットした人の犯罪事件の管轄警察署に電話して「当方は第二種金融取引業者でファンド販売を業としているクラウドクレジットと申しますが、そちらで発生したこれこれこういう事件の犯人の●▲◆■という者と同姓同名の人が、当社の方に登録申請してきたのですが、犯罪歴のある本人か別人か判別できないので、そちらの犯人と生年月日が同じかどうか確認したいと依頼した」ところ「生年月日が違う」旨を教えてくれました。

次にそのヒットした人が暴力団関係者の可能性がある場合は、当社が入会している第2種金融商品取引業協会に照会をいたします。同協会では公益財団法人・暴力団追放運動推進都民センターと連携しており当社のような会員企業からの照会に答えてくれます。

 

上記のような方法で確認した結果、過去において契約先データベース上でヒットした「同姓同名」の方はすべて、「悪い人」とは別人ということが判った次第です。

 

また②のケースの「なりすまし」を防ぐには、郵便局の「特定事項伝達型本人限定受取郵便」というサービスを利用して対応しています。

 

これについて話すためには、少し法令について触れないと説明ができませんので、また話が堅くなる(権威づけする?)ことをお許しください。関係している法令の一つは「犯罪による収益の移転防止に関する法律」というものです。

 

思い出していただきたいのですが、当社にご登録の際に「本人確認用のハガキが届いて、その際に郵便局員がお客様の免許証などの本人確認書類を拝見してその番号を控えていったこと」があったはずなのですが、実はそれもこの「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に本人確認をしなさい。と書いてあるからなのです。

 

そしてこの法律には、その本人確認の方法を何種類か規定してあって、当社はその中から郵便局の「特定事項伝達型本人限定受取郵便」というサービスを利用すると、その規定に準拠することになるので利用しているという訳です。

 

この「特定事項伝達型本人限定受取郵便」では、郵便局員が、登録申請者ご本人に会ってその免許証などを確認するので、万が一「悪い人」が「良い人」になりすまそうとしても、その時点で本人でないのがバレてしまうという訳です。

当社の例では、このような「なりすまし事例」は幸いなことに過去にはありませんが、このようになりすましを防ぐためにも「犯罪による収益の移転防止に関する法律」というものが、細かく本人確認の方法までを規定しているのです。

 

以上おわり


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