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カメルーン中小企業支援プロジェクトから見るアフリカ 第3回

クラウドクレジットのパートナー、Ovamba社がカメルーンに進出した理由として前回、同国の良好なマクロ経済状態やビジネス環境を挙げました。しかし、理由はそれだけではありません。Ovamba社にとって、カメルーンはアフリカ全体への進出の足がかりであり、カメルーン周辺国の経済状況も当然重要なポイントとなってきます。

そこで今回は、カメルーンのお隣、ナイジェリアの経済状況と、Ovamba社の可能性に関して検討したいと思います。

ナイジェリアの概観

2014年に発表された統計で、ナイジェリアのGDPは南アフリカを上回り、アフリカ最大の経済大国となりました(2015年もアフリカで1位、世界24位)。また、人口に関しても、1億7800万人で、アフリカでダントツの1位(2位エチオピア8900万人の約2倍)と、今後のアフリカの経済成長を牽引する国として注目を集めています。国境を接した隣国において経済発展が期待できる、という事は、カメルーンに拠点をもつOvamba社にとってこれとないニュースです。

(ナイジェリアの位置)

さて、このナイジェリアにおいては、Ovamba社が活躍できる余地が大いにありそうです。

SME (Small and Medium Enterprises、中小企業)の同国経済における重要性

通常、途上国や新興国市場においては、「ミッシングミドル」という問題が見受けられます。それは、中小企業の数が少ない、ということです。高所得国においては通常、中小企業がGDPの50%程を生み、雇用の60%程度を創出する、といった状況が見受けられます。しかし、途上国や新興国においては、多くの零細企業と少数の大企業で市場が占められ、中小企業が少ない、という状況が散見されます。

(企業規模と企業数)

(Harvard Kennedy School. Center for International Development.)

しかし、ナイジェリアにおける企業の97%はSMEであり、雇用の約50%、工業生産の50%を創出しています。つまり、ナイジェリアにおいては中小企業が育っており、同国経済において重要な役割を果たしている、ということです。

SME向け資金の不足とそれに対するナイジェリア中央銀行の対応

しかし、ナイジェリアにおけるSMEセクターの問題点は、SME向けの融資を担う金融機関が少ない、ということです。通常、大企業は通常の商業銀行から資金を借り入れる事ができます。また、零細企業や個人事業主はマイクロファイナンス機関から小額のお金を借り入れる事ができるようになってきています。しかし、この、零細企業と大企業の間にある中小企業がアクセスできる資本が少ないのです。大企業はリスクに尻込みしてSMEに貸し出しを渋る傾向があり、マイクロファイナンス機関は、SMEの需要に応えるだけの資金力がありません。

この問題を解決する為に、2010年からナイジェリア中央銀行は、2000億ナイラ(ナイラはナイジェリアの通貨。2016年8月1日現在、1ナイラ=0.32円)規模のSME向け融資の信用保証制度を始め、SMEの資本へのアクセスを強化しようとしています。

中間層が育つことによる需要増と輸入業への期待

上記のように、全体の経済成長が見込まれ、中間層が育つ国においては、中間層による消費材需要が増え、輸入品への需要も増えることが予想されます。輸入ビジネスをターゲットとしてサービスを展開するOvamba社にとっては、良い条件が整っている環境、と言う事ができるでしょう。

クラウドクレジットはこのような好条件の中で着実にビジネスを展開するOvamba社をこれからも支援してゆきます。

参考文献:
日経新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0804D_Y4A400C1000000/
Central Bank of Nigeria
https://www.cbn.gov.ng/devfin/smefinance.asp
世界経済のネタ帳:アフリカの人口ランキング
http://ecodb.net/ranking/area/G/imf_lp.html
Harvard Kennedy School. Center for International Development.
https://www.hks.harvard.edu/centers/cid/programs/entrepreneurial-finance-lab-research-initiative/the-missing-middle


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