重要性を増す民間資金の役割-SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて
昨年の9月25日(金)、国連に加盟している193の国々はSDGs(Sustainable Development Goals)(持続可能な開発目標)を採択しました。これは、貧困と飢餓を地球上からなくす事、最貧困の人々の健康状態を改善する事、環境を守る事、気候変動への取り組みを進める事、等、17の具体的目標を2030年までに達成することをコミットした国際的な取り決めです。
さて、ではどのようにしてこの目標を達成するのでしょうか?一番の課題は、誰がこれらの目標を達成する為の取り組みに対して資金を提供するのか、という点です。
SDGs達成の為の資金源は主に3つあります。一つ目は開発途上国自身による資金拠出、二つ目は先進国による資金援助、そして三つ目は民間からの投資です。
1. 開発途上国自身による資金拠出
貧困削減、貧困層への福祉サービス拡充等の最も大きな財源は途上国自身です。これが、2000年に採択されたMDGs、ミレニアム開発目標との大きな違いです。ミレニアム開発目標は先進国による資金援助頼み、という面がありましたが、今回、SDGs達成においては、途上国自身が自国の問題に対して責任を持って取り組む、という姿勢が明確になっています。先進国は、途上国がSDGs達成の為に自国内で十分に財源を確保できる様、税制等に対するアドバイスを行います。
2. 先進国による資金援助
ただ、1の途上国自身による資金拠出だけではSDGs達成には不十分な為、先進国からの援助も重要です。これは、JICAやUSAID 等の2国間援助機関、また世界銀行やEU等の国際機関によって拠出される資金です。
3. 民間資金
そして近年注目されているのが、民間資金の役割です。従来、貧困削減、貧困層への福祉サービス等は民間資金、プライベートセクターによる投資、ビジネスの範囲外と考えられていました。貧困層には、プライベートセクターの利益に貢献できるだけの支払い能力がないと思われていた為です。
しかし、貧困層にも食品、医療等のベーシックなサービスへの支払い能力があること、そして何よりも下の図に示される様に多くの人口を有する事から(つまり、多くの顧客が期待できる事から)、貧困層をプライベートセクター、民間ビジネスの対象とする動きが活発になってきています。
貧困層に彼等が必要とする商品、サービスを提供し、彼等の生活向上に貢献するとともに企業自身が利益も上げる事でWin – Winな関係をつくりだし、途上国における持続可能な経済発展のサイクルを生み出すことが民間セクターによる活動には期待されています。
途上国、新興市場経済への金融サービスにもこの持続可能な経済発展のサイクルに貢献することが期待されています。融資、という商品(サービス)を提供することで、途上国の人々が貧困から抜け出す手助けをすることができます。当社が行っている活動はまさにこのスキームに当てはまります。
先進国における資金供給を途上国における資金需要と繋げることで、投資家と資金需要側にWin – Winの関係をつくりだすとともに、SDGsに代表されるような社会的なミッションにも貢献してゆくことを目指して、今後も活動を続けてゆく方針です。
※参考
・Who Foots the Bill for Ending Extreme Poverty? Foreign Policy.