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ブラジルにおいて成長するオンライン投資市場

 オンライン投資はこれまで主に欧米で盛んに行われ、最近ではアジアでも行われる様になってきました。一方で、ラテンアメリカにおいては、資金需要はあるものの、オンラインでの資金供給はこれまでそれほど行われてこなかった、というのが実情です。ただ、近年ラテンアメリカの中でも、起業家を多く産み出すエコシステムが整っており経済成長が見込まれる国がいくつかあります。ブラジルがその一つです。

 ブラジルにおけるオンライン投資は現在まで少数のプレーヤーによってしか行われてきませんでした。しかし、地元の関係者が当局と話を始め、オンライン投資に関する啓発とそれに伴う必要な追加の法整備を始めようとしています。

1. オンライン投資に伴う現在の法整備状況

 ブラジルの成長途上のオンライン投資はこれまで、既存の法的枠組みの中で行われてきました。その中でも代表的なものは、株式公開を規制するCVM Instruction 2000という2003年に制定された規制です(CVM:Comissao de Valores Mobiliario、ブラジルの証券取引委員会)。この規制の例外規定により、中小企業(100万ドルの以上の売上高がある企業と定義されている)はいくつかの登録作業を免除される事になっています。この規制は機関投資家、個人投資家のどちらに対しても投資金額の上限を決めていません。唯一の制限は、債券発行者は最大で年間69万ドルまでしか債券発行できない、ということと、債券発行前にCVMに通知し、承認をもらわなければならない、ということだけです。

2. これからの展望

 最近、関係者達はCMVとエクイティクラウドファンディングに関する新たな法整備を行う為に対話を続けています。公的なアナウンスはまだないものの、ある情報筋によると、合計投資額の10%か総年収、どちらか高い方に年間投資額の上限が設定されるだろうということで、現在の法規制よりも投資家を保護する規制内容になっています。また、CMVが債券発行者に対してより厳格な書類審査や監査書類の公開等を課す可能性も大いに考えられます。これは資金調達側にとっては荷の重い話ではあります。

 いずれにせよ、ブラジルがオンライン投資に対してどういうスタンスで臨んでくるかは、今年のCMVの公式発表まで定かではない状況です。ただ、現地のオンライン投資産業が規制当局と話をし始めている、ということはオンライン投資市場のポテンシャルと新たな法的枠組の必要性が認知されてきた、ということであり、ポジティブな傾向であることに変わりはありません。

 ブラジルの今後のオンライン投資市場の行方からは目が離せません。

参考: The Online Incesting Market is Developing in Brazil


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