ペルー トルヒーヨのマイクロファイナンス
クラウドクレジットの杉山です。
先日トルヒーヨを訪れた際に現地のマイクロファイナンス機関の方にご協力頂いて、マイクロファイナンス機関から借り入れを行っている自営業者の方にヒアリングをさせて頂きました。
今回ヒアリングを行ったのは、トルヒーヨのマーケットから商品を仕入れて個人にうる出店をだしていらっしゃる規模の小さな自営業者さんです。
借りたお金は、主にお店のちょっとした備品を改善することに使われているようです。
ローンの期間は1ヶ月程度と短く、返済は日次で行われるタイプのものでした。
リマではお金のやりとりは日本同様に銀行口座を介して行われていますが、トルヒーヨはリマとは経済の発展段階が異なり、まだ多くの人が金融機関とも銀行口座を介せずにお金のやり取りを行っているようでした。
複雑な手続きを避けつつお金のやりとりの記録を残す仕組みとしては、日次の返済を債務者の手元記録帳とマイクロファイナンス機関の管理表との2つで記録してゆき、それらの照合を行って認識に相違ないかの確認が行われていました。
この貸付の場合、返済の間隔を月次ではなく日次とすることでまだ金融機関との付き合いに慣れていない方にも返済を行うという行為を日常のものとして慣れてもらうことを図っているそうです。
また、日次で返済金を受取る人とは別に、事業の状況を聞いたりお金まわりの管理方法をアドバイスしたりする、借り手とコミュニケーションをとる担当者もほぼ毎日借り手のお店を訪問してコミュニケーションをとっているとのことでした。
お金の借り手の方々は月利8.5%前後(単利で年利に引き直すと、102%!)でお金を借りているのですが、この利息の返済は負担とならないのでしょうか。
もちろんお金を借りる額が大きすぎてしまえば返済は難しい金利水準ですが、今回のヒアリングでみえてきたのは別の姿でした。
数社の借り手の方にヒアリングさせて頂いたところ、日々の返済金額は、日々の事業収益の5~20%(ほとんどは5~10%)の範囲に収まっていました。
マイクロファイナンスに関わる文献、レポートや、メディアに掲載された関係者のインタビュー等を総合すると、零細事業者へのマイクロファイナンス貸付において事業者の事業収入に対する元利金返済額の割合は一般的には10~20%くらいというイメージを持っているので、このマイクロファイナンス機関は事業者の方にとって必要最低限の資金を貸し付けているイメージかと思います。
債務者の方にヒアリングさせて頂いたところ、もちろん自分たちの事業収入だけでお店をやりくりしていくことはできるものの、マイクロファイナンス機関からの借り入れによってより備品の改善等をテンポよくできるとのことでした。
マイクロファイナンス機関側の方も、金融機関との付き合いに慣れていない零細事業者の方々に融資するにあたって、常に「事業者が成長することによってマイクロファイナンス機関も一緒に成長したい」というメッセージを伝えることを心がけていらっしゃるとのことでした。
途上国の金融では金利が何十%とか借り手のROEが何百%とかいってしまうとちょっと肌感覚でのイメージがつかみにくくなる中で、今回の訪問ではお金の借り手の事業収入と元利金返済負担を比較して実態をよりはっきり見る良い機会を頂けたと思います。