SDGS:持続可能な開発目標~クリーンエネルギーの普及に取組む投資~
■ごあいさつ
はじめまして、クラウドクレジット商品部の松浦と申します。
私が所属している商品部は、当社のウェブサイトに掲載しているファンド商品を組成する部署で、投資先の発掘・条件交渉・ドキュメンテーション等販売に至るまでの過程を担当しております。
弊社は社会性と経済性の両立を目指すべく、2018年6月18日に社会インパクト投資宣言を発表し、投資家の皆様に社会インパクト投資の機会をご提供することで、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に積極的に取り組んで参りました。
弊社のSDGsへの取り組み事例として、メキシコ女性起業家支援ファンドに続きファンド商品を採り上げ、日本の投資家の皆様がクラウドクレジットを通じて投資された資金がどのようにSDGsの実現につながるのか、お話しさせていただきたいと思います。
事例紹介:パキスタン太陽光事業者支援ファンド
~「SDGs:クリーンエネルギーの普及」~
■どんなファンドなの?
パキスタン・イスラム共和国(以下パキスタン)の子会社を通じて太陽光発電ユニットの割賦販売とレンタルを行っているアメリカ合衆国の企業O社に融資をするファンドです!
■どんな国に貸すの?
パキスタンはインドの北西にある、日本の約二倍もの面積がある国です。そして、あまりイメージはないかもしれませんが、パキスタンは実はとても人口が多い国です。パキスタンの人口は現在約2億人ですが、ブラジルに次ぐ世界第6位の人口を誇ります。うち、2/3が30歳以下と、非常に「若い」国でもあります。
しかし、経済規模はブラジルに大きな差をつけられており、GDPはブラジルの約半分です。パキスタンの飛躍を阻害している要因の一つが電力インフラの未整備です。7千万人ものパキスタン人が電力網へのアクセスがなく、加えて7千万人が生活や事業を営む上で十分な電力供給を受けられていないという現状があります。また、パキスタンには300万社ほどの中小企業があるといわれていますが、そのうち120万社が電力網にアクセスできていません。
近年、世界の電力インフラが整っていない地域では、オフグリッド型太陽光発電システムの利用が拡大しています。オフグリッド型太陽光発電は、電力会社が提供する送電系統(「オングリッド」)とは独立した発電システムです。発展途上国で普及しているオフグリッド型太陽光発電システムは、ノートパソコンを広げたぐらいの大きさの太陽光パネルに蓄電装置がついており、照明器具や扇風機などを動かすことができ、アフリカや東南アジアをはじめ様々な国で人気が出ています。
パキスタン太陽光事業者支援ファンドの融資先となるO社は、パキスタンの電力不足をこのオフグリッド型太陽光発電システムの普及を通じて解決するために設立されました。
■誰に貸しているの?
パキスタン法人は2014年2月に試験的に事業を開始し、事業の本格稼働に伴い、より資金移動を容易にすべく2016年12月末にアメリカに持株会社となるO社を設立しました。
O社は、最大商業都市のカラチの郊外にある電力網が届かない地域にて営業しており、太陽光発電ユニットを割賦販売またはレンタルで提供しています。顧客は月々千円から4千円を、モバイル決済サービスを通じて18-24か月にわたって支払います。
O社のターゲット顧客層は、電力網にアクセスできない人々のうち、零細企業と農家です。O社が太陽光発電ユニットを提供することで電気を活用して事業を拡大することで返済能力を確保できる、信用力が比較的高い顧客層の取り込みを図っています。
③ ジェンダー平等
パキスタンの出生率は3.5人と高い水準にあるものの、子供の47%は学校にいけておらず、識字率は6割を切っているという現状があります。要因は、①人口の6割以上が住んでいる郊外における慢性的な学校不足、そして②農村では子供は貴重な労働力とみなされているため親が学校に行かせたがらないためです。
また、例え学校に行けたとしても、帰宅してからは家の手伝いをし、日が暮れると暗くて勉強をすることができないため、日本人の子供のように宿題や予習復習をすることができないため、せっかく学んだ知識が定着しにくいのです。
O社の事業を通じて、パキスタンの子供たちに太陽光発電システムを届けることで、学校にいける子たちは家の手伝いをしたあとも照明をつけて勉強をすることができるようになります。
10月に第1号ファンドを発売させていただきましたパキスタン太陽光事業者支援ファンドですが、一年間を通じて、累計1億円を募集する予定です。メキシコ女性起業家支援ファンドのブログ記事で実施したように、本ファンドのインパクトを概算しますと下記の通りになります。
1億円(累計募集金額)÷1.6万円(O社製品の平均売上原価)=6.3千個
↓
6.3千個×6.8人(平均世帯人数)=4.3万人(O社製品を利用している人数)
4.3万人÷1億4千万人(電力が不十分または全くない人口)=0.03%
もちろんこちらはおおざっぱな概算で、世帯当たりの利用個数や販売に伴う様々なコスト等の諸要素を鑑みるとこの数値は減ります。一見非常に低い割合には見えますが、O社の事業が今後2倍3倍と成長していく中で、多くのパキスタン人の未来を変え、相応のインパクトをもたらすファンドであることは間違いありません。
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このように、一つのファンドを通じて、大きな社会的インパクトをもたらすのみならず、複数のSDGs項目の実現に貢献できることが実感頂けましたら幸いです。
今後弊社はより多くのSDGs実現に向けて、投資先企業の所在国や事業分野の多様化により一層取り組んで参りたいと思いますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。