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投資型クラウドファンディングの留意点(MRIインターナショナルの例から)

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せっかく盛り上がってきているクラウドファンディングに悪影響が無いようにか敢えてMRIインターナショナルを投資型クラウドファンディングという人はいませんでしたが、MRIインターナショナルは「ちゃんとやっていれば」日本最大級の投資型クラウドファンディングでした。

単純に言えば新聞などでも報道されている通り事業もするのをやめて社長が投資家のお金をネコババしてしまった悪質な事件のひと言でも片付けられそうですが、それでは業界としての反省/進歩になりません。

MRIインターナショナルの詐欺事件を金融市場的な観点等から分析した記事がなかなかなかったので、記事で見られなかったMRIインターナショナルの問題点を纏めておきます。

i) 為替リスクを自己で負ってしまった

海外投資型のファンドを日本で販売する場合、日本では円を集めて海外では外貨で運用することになります。

この円/外貨のミスマッチを仕切るには、3つの方法があります。

a) 業者が為替リスクのヘッジ取引をおこなう

b) 投資家に為替リスクを負ってもらう

c) 業者が為替リスクを負う

 

a) は為替/通貨スワップ取引というものを行うもので、投資信託などでも結構行われています。

最近提供が開始されたAQUSHグローバルなどではこの手法がとられているようです。

投資家は為替リスクを(ほとんど)とることなく海外投資が出来るケースがあります。

 

b) は、投資家に為替リスクを負ってもらうものです。

投資家は投資対象が収益をあげていても円高になるだけで損を被るリクスを負いますが、リスクを理解した上での投資であればもちろん全く問題ありません。

music securitiesさんのマイクロファイナンスファンドなどはこれを選んでいるようです。

 

そしてc) は、僕は個人的に「恐怖システム」と呼んでいるパターンです。

他業の場合は為替変動でコストが。。程度かもしれませんが、金融業では致命的になります。

円高になるだけで業者は倒産します。確率2分の1で(というかほぼ99%)業者が倒産してしまいます。

途上国の中小の金融機関は(一部)ドルでお金を借りて自分で為替リスクを負ってしまうことはよくあるそうですが、(自己申告で)資産規模が1300億円のMRIインターナショナルが為替をヘッジしていないというのはちょっとすごいです(推定業務利益が30億円くらいの会社でドル円が10円動くだけで130億円の為替損益がでるってどういう心境で日常業務するんでしょう。。。 (実際には単純に事業やめて金をネコババしただけかもしれませんが、)

MRIインターナショナルはちゃんと事業をやっていても2007年から2012年の5年間でドル円が1ドル120円から80円になってるので、それだけで300億円くらい損をだしていたことになります。

 

ii) 金融市場の動向をみる力がなかった

MRIインターナショナルは「円建て」「利回り6-9%(固定)」ということで人気がでて1300億円(自己申告)もお金が集まったようです。

僕はアメリカの診療報酬債権市場を詳しくは存じないのでここからは一般論での推測ですが、1998年に彼らが開業した頃は本当にそれくらいはらってもペイしたのではないかと思います。

アメリカには日本にはないハイイールド市場が結構あるので、診療報酬債権市場でたとえば15-20%で運用出来ていたら、投資家にも「円建て6%です!」という一方で自分もマージンを10%くらいとって事業を行えるということになります。

しかし、この状況はリーマンショック後に変わりました。

日本のテレビのニュースをみているとさすがに世界の投資家もリーマンショック後は保守的になったと思われるかもしれませんが、実際は逆で、リーマンショック後のFRBの金融緩和によってお金があふれて投資先がどんどんなくなってしまい、ついにハイリスク/ハイリターンの市場にもどんどんお金がまわっていって需要/供給によりハイイールドもののイールドはどんどん下がってしまいました。

つまり、もしアメリカに診療報酬債券市場というニッチなハイイールド市場があったとしても、2009年以降凄まじい勢いでイールドは下がり、MRIインターナショナルが説明していたように実は安全な市場だったのであれば、イールドは少なくとも5%前後か以下にはなっていたのではないでしょうか。

しかし、彼らはこういう金融市場の動向への対処法をもっていなかったようです。

こういう状況にどう対処すればいいかというのはとても単純で、投資家に出す利回りを(新規販売分からは)下げてしまえばよいです。

これは銀行が預金金利をあげたり下げたりするのを日常的に行っているのと同じで、日本の投資家も投資先に困っているので、(本当に安全で円建てなのであれば)別に6%もださなくても3%やもしかしたら2%でもお金は集まったのではないでしょうか。

さらにイールドが下がって商売にならなそうであれば別の市場に行くとか別の国に行く(アメリカの市場がなくなってもブラジルには近い形の市場があるかもしれない等)などがあります。

クラウドファンディングというとキラキラした未来が待っていそうですが、投資型クラウドファンディングは金融市場の動向を見極める必要があると思います。

 

iii) 金融業の典型的なジレンマにはまった これが i) や ii) を起こした根本的な問題で、この点は投資型クラウドファンディングにとって暗いニュースですが、投資型クラウドファンディングはうまくいったらうまくいったで、今度は変化できる組織を維持するのが他業よりもとても難しいというジレンマをもつようになるのではないかと思います。

MRIインターナショナルの場合、うまくいっていたときは1000億円を運用/調達してマージンを5%とれていたとすると、事務コストを引いても毎年30億円くらいは儲かっていたことになります。

いろいろ必死に企画したり試行錯誤することなく、慣れ親しんだ回収業、ファンド販売業を淡々と行うだけで、です。

この、「慣れ親しんだことを淡々とやるだけですごく儲かる」というのは、組織が活性化する力を死滅させます。

そういう組織では「為替ヘッジをしないとまずい!」と提案をしても「いやいや、しなくても今うまくいってるじゃん」といわれ、投資対象のイールドがつぶれてしまったときの次の投資対象を探す努力も見込めなくなってしまいます。 特にMRIインターナショナルのように大きくもない会社が数十億円もの利益を出していると、だいたい社長は「神」のような存在になってしまい、意見するなどもってのほかになり、いつの間にか事業をしていなかったり金庫(口座)に手を付けていたということにもなってしまったのではないかと思います。

投資型クラウドファンディングは(上手くいった場合は)ともすると「常に斬新な商品を売り込み続けないといけない!」という方向からそれがちなようなので、どう惰性を打破する仕組みにするかもチャレンジになるようです。

新興国がどんどん成長してきた現在はMRIインターナショナルの診療報酬債権市場(もし本当にあったのなら)のように「おー」という有望市場が不動産でも貸出でもどんどんでてくるのではないかと思いますが、その儲けを永続的なものにして、MRIインターナショナルのように開業後15年たってから派手にぶっ壊れることがないよう、こういった事例からは学ぶことが多いと思います。

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