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レーター・ステージ企業にとっての投資型クラウドファンディング

2014年の、寄付型、物品購入型クラウドファンディングの成長率は、それぞれ、45%、84%であったのに対して、同年の投資型クラウドファンディングは182%増え、USD11億円に達しています。2015年の第一四半期は更にこの傾向が強まっており、今年は、投資型のクラウドファンディングの興隆の年になると言っても過言ではないでしょう。

その中でも専門家の注目を集めているのが、レーター・ステージ企業の存在です。

欧米における投資型クラウドファンディングの一件あたりの調達額を見ると、5千万円から1億円が一般的です。投資額からして、これらの資金はアーリー・ステージ企業による調達と予想されています。つまり、レーター・ステージ企業がクラウドファンディングを利用しているケースはごく僅かであると推察します。

レーター・ステージ企業の調達資本額は約5億円以上と言われますが、まだこれ程の大きな規模の資金がクラウドファンディングを介して調達されることは殆どありません。レーター・ステージ企業がクラウドファンディングを利用する事は現実的ではないのでしょうか?

TheCrowdCafeという投資型クラウドファンディングの研究・出版を専門としたサイトの創設者は、既存のプラットフォームを、レーター・ステージ企業がそのまま利用することは難しいと言います。しかし、以下の方法によって、5億円以上規模の資金調達も可能になると提唱しています。

1. オンラインとオフラインの組み合わせ

レーター・ステージ企業が、投資家一人ひとりと打ち合わせをして、その都度事業のプレゼンテーションを行い、相手の投資意向を探るのには大変な労力と時間がかかります。そこで、クラウドファンディングより、投資家のバックグラウンドと、どれくらいの規模の投資が可能か、などのある程度の情報を吸い上げることが賢明とのこと。まずは、クラウドファンディングサイトで投資家の情報を入手する事で、マッチングに費やされる費用と時間が相当抑えられることが考えられます。

2. クラウドのトランシェ化

レーター・ステージ企業は、なにも5億円規模の投資額をすべてクラウドファンディングで調達する必要はありません。一件の投資を、シリーズA, B, Cなどいくつかに分割し、シリーズA, Bはこれまでの伝統的なエンジェル投資家やベンチャーキャピタルにより調達し、シリーズCのみクラウドファンディングで調達する、などの方法で、レーター・ステージ企業もクラウドファンディングを活用できる可能性があります。

3. ブローカー・ディーラーネットワークの強化

ブローカーやディーラーを通したトランザクションは、時として多くの仲介手数料が発生します。クラウドファンディングはこれらのブローカーやディーラーを完全に市場から排除してしまうのではなく、市場の透明性を高めることで、双方の連携が強化され、無駄な仲介作業をなくす効果があると見られています。このため、クラウドファンディングは、レーター・ステージ企業にとっても魅力的なツールになっていくものと予想されています。

皆さんのこれらの見解に対するご意見はどうでしょうか。今年のクラウドファンディングにおけるレーター・ステージ企業の動きは、我々にとっても大変気になるところです。

出典・参考:

Massolution, “2015CF – Crowdfunding Industry Report” 2015

TheCrowdCafe, “Early-stage private capital markets are moving online. How about later-stage?” 2015


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