SLUSHとフィンランドの教育
SLUSHとフィンランドの教育
ベンチャー企業の活躍が日本でも注目されています。
そんなスタートアップ企業を支援する「SLUSH」は、2008年より毎年開催されているフィンランド発のスタートアップ・カンファレンスです。カンファレンスの名前は”溶けかけた雪”という意味で、フィンランドらしさを覗かせます。
年を追うごとに参加者は増加し、2014年の「SLUSH ASIA」では、日本から南場智子氏や孫泰蔵氏がスピーカーとして登壇、世界14,000人3,500社以上を動員しました。
世界的に見てもフィンランドはスタートアップ先進国です。
The Networked Readiness Index 2014(ネットワーク整備指数では、フィンランドは1位(日本は16位)。2013年10月にガンホー・オンライン・エンターテイメントが買収したsupercellを筆頭に、ITベンチャーの新陳代謝が激しく行われています。
なぜこのように新しい価値を生み出すことができるのでしょうか。
ひみつはフィンランドの「自立人材輩出」を目指した教育方針と、それを後押しする国の姿勢にあると言われています。
1994年にフィンランドの教育大臣に就任したオッリペッカ・ヘイノネン氏(現・フィンランド国務長官)は、児童たちの学習目標を示しつつ、学習指導要領の項目数を1/3に削減しました。さらに教科書検定も廃止することで、教師たちに自ら教材を準備することをすすめ、学校ごとに独自のカリキュラムを作成させました。さらに教員資格取得に求められるレベルを、学士から大学院修士修了レベルに引き上げ、教員の質の向上にも努めています。
また、貿易産業省(日本の経済産業省のような省庁)を中心に、「自立人材」が活躍する環境づくりを国が推し進めています。
フィンランドにおける公的研究支援部門の概要
さらにヘルシンキ工業大学の学内に、会社設立や特許申請の支援・研究協力の紹介などを行う「技術革新促進センター」が事務所を構えており、大学の研究者の研究成果を具体的な事業展開に結びつけるようサポートするといった具合です。
改革された教育を土壌とし多くの優秀な人材を育て、成功するフィンランド。
もちろん歴史や文化背景が日本と異なる国であるものの、その変遷から学ぶところは多くあるのではないでしょうか。
参考: