ヨーロッパのクラウドファンディング環境
ヨーロッパでは、2007年の金融危機を皮切りに、単一通貨の成否を問う議論が尽きません。ユーロが導入されてから約15年が経過しましたが、EU加盟国それぞれの法律や方針が異なる中、通貨のみを共通とすることの難しさを改めて感じている人も少なくないかもしれません。
ヨーロッパのクラウドファンディングにおいてはどうでしょうか。EU域内は、通貨が共通であるからこそ、国境を跨いだクラウドファンディングに大きな可能性があるという見方もできます。しかし、各国どのような方針を掲げ、どの様な環境を整えようとしているのかにより、どの程度の発展が見込めるかが変わってきます。
ヨーロッパのクラウドファンディング情報を公開し、透明性をもたらす役割を担っている、European Crowdfunding Networkは、現時点では、ヨーロッパ各国の当該分野に関する政策・法律がバラバラで、一枚岩になっていないことに危機感を募らせています。
大きく分けると、ヨーロッパ各国政府のクラウドファンディングまわりの政策・法律の整備に対する意識は、以下の通りに分類できます。
各国政府のクラウドファンディングに対する方針・政策・法律構築への意欲
特に、クラウドファンディング環境の整備に積極的な姿勢を示しているのは、英国、フランス、イタリアです。
英国は現行の金融関連の法律を、クラウドファンディングの台頭を意識し、改定しています。
フランスは、英国とは別のアプローチで、クラウドファンディングに特化した法律を新たに構築し、2014年10月より執行されました。イタリアは、投資型のエクイティクラウドファンディングに関する法律を2013年に制定しました。
多くのヨーロッパの国や政府がまだ、クラウドファンディングの発展に適した環境をどのように育てればよいかについて頭を悩ませていますが、市場はそれを待ってくれません。
例えば、投資型のエクイティファイナンスモデルを採用する、Raizersは、既にフランス、デンマーク、スイスでのオペレーションを決めています。デンマークやスイスでは、クラウドファンディング法が整っていませんが、投資型クラウドファンディングに対する潜在ニーズが高いと睨んでいます。つまり、クラウドファンディングは、インフラや環境ありきではなく、市況(受給)によって参入するか否かを判断しているようです。
また、Raizersは、真に融資に対するニーズを満たすためには、国境を越えたビジネスを展開しなければ意味がないと話します。特に、投資型のクラウドファンディングはまだ成熟していない、ブルーオーシャン市場であると考えており、この機会を逃すわけにはいかないと熱を入れています。Raizersのように、クラウドクレジットと同じ思いを持つ人々がいることは、弊社にとっても心強い次第です。
出所:Crowdfunding Insider “Raizers Targets Ambitious Pan-European Equity Crowdfunding”
European Crowdfunding Network “Review of Crowdfunding Regulation” 2014
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