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ペルーの金融における行動経済学の実験

 

一般の人々は、「経済」と聞くと、(クラウドクレジットに関心を寄せて頂いている方は別かもしれません)途端にアレルギー反応を起こしてしまう方も少なくないのではないでしょうか。

 

その様な方々にとって、「これまでの経済理論は、現実に即していない」との意見が増えていることは、朗報かもしれません。経済学者の中でも、この様な考えを持つ人は増えています。「人間は、必ずしもその行動は合理的でないため、経済学のシナリオ通りに行動しない」との意見から生まれたのが「行動経済学」です。

これまでの典型的な経済学に代わる「行動経済学」が、世界中で高まりを見せています。この分野に精通されている方はすでに、ダニエル・カーネマンやダン・アリエリーといった学者の著書は読んでいらっしゃることと思います。

この行動経済学をベースとした実験が、ペルーでも行われました。Innovation for Poverty Action(IPA)という、イエール大学の、ディーン・カーラン経済学教授が立ち上げたNGOが調査にあたりました。債務者が、融資返済を、期限を守り、滞りなく行うためには、どのような方法がよいのかを探る実験です。

 

まずは、モニタリングする債務者グループを決定します。そのサンプルを「介入するグループ」(treatment group)と「介入しないグループ」(control group)のふたつのグループに分けます。そして、介入するグループに対しては更に、融資の返済期限が近づくと「期限内に返済すると、次回もよりいい条件の融資が得られますよ!」とメリットを伝えるグループと、「返済が滞ると、次回から融資が受けられませんよ!」とデメリットを伝えるグループに分けました。

 


債務者の返済率に対する実験:3つのグループに分けてモニタリング

 

その結果、介入したグループの方が返済率が高まり、更にその中でも、期限内に返済しないことで生じるデメリットを伝えたグループの返済率が高まったそうです。

この類の介入式の実験を、ランダム化比較試験(Randomized Control Trial :RCT)と呼びます。この様な実験を行うことで、従来の経済学では論じられることのなかった、人々の行動を分析し法則を見つけることで、より良い金融サービスを開発しようと考える人も増えています。

 

行動経済学によって色々な研究が進むことで、従来の銀行サービスとは異なる新しい金融商品が生まれていくのかもしれません。

 

 

出所:IPA  http://www.poverty-action.org/project/0026


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