進むクラウドファンディングのインパクト調査
アメリカ・イギリスを筆頭に盛り上がりを見せるクラウドファンディングは、今日までに、全世界で約500のプラットフォームが確認されています。
インターネットにさえ接続できれば、誰でも資金調達が行えるこのツールが、事業や社会へどのようなメリット(デメリット)をもたらしているのかは、殆ど未調査のままです。クラウドファンディングは、自由市場の原理に基づいて、極めて自然に発展を遂げてきたこともあり、調査が実態に追いついていないのが現状です。
しかし、少しずつですが、クラウドファンディングのインパクトに関する報告書が発行されています。今回は、2013年に「事業収益」「雇用」の観点から行われたインパクト調査の中身を少し紹介いたします。
アンケート調査の応じたのは、9か国(米国、カナダ、フランス、フィンランド、イギリス、オランダ、アイルランド、ケニア、ナミビア)、73のプラットフォームです。なお、投資型、購入型、寄付型などのクラウドファンディングの種類については、社員コラム「投資型クラウドファンディング2」をご確認ください。
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平均調達額
- 比較的多くの資金を集めているのは投資型のエクイティファイナンスでした。一案件あたりの平均調達額は、966万円。購入型プロジェクトの平均調達額、304万円を大きく引き離しています。
プロジェクトあたり平均調達額
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平均総資産利回り(ROI)
- 投資型エクイティファイナンスの、平均総資産利回り(ROI)増加率/四半期は、351%。それに比べて、購入型プロジェクトは平均24%/四半期の上昇でした。投資型案件はそもそも規模が大きいため、ROI上昇率が高い傾向にあります。結論としては、投資型、購入型問わず、クラウドファンディングは収益率をあげるのに有効のようです。
プロジェクトあたり対前四半期ROI上昇率
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新規雇用人数・率
- 調達額やROIが大きいのは、投資型エクイティファイナンスですが、調達後に新規にスタッフが雇われたのは、購入型プロジェクトでした。購入型プロジェクトの39%が、新規雇用を行ったのに対し、エクイティ型プロジェクトは28%が新たにスタッフを雇用しました。
プロジェクトあたり新規雇用人数と新規雇用率
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クラウドファンディングの資金調達法としての優先度
- 購入型・寄付型、投資型の何れもその半分以上が、当初から、銀行借り入れではなく、クラウドファンディングを資金調達方法として検討していたとのこと。従来の方法での資金調達は、手続きが煩雑な上時間がかかるため、これらの問題を避けるためにはじめからクラウドファンディングの活用を決めていた事業主が50%以上でした。
クラウドファンディングを資金調達手段の第一候補として考えていたプロジェクトの割合
上記の結果から言えることは以下のとおりです。
- クラウドファンディングにより資金調達を行った事業は、収益率が上がっている。
- 特に、投資型・エクイティファイナンスは収益性が大きく改善されている。
- 資金調達に成功した事業の3~4割は、新規にスタッフを雇用している。
- 事業主の5割以上が、当初からクラウドファンディングを資金調達の手段として考えていた。
上記のような、クラウドファンディングに関するデータの蓄積・分析がますます進むことで、より人々の生活に馴染んだ使いやすいものへと改善されていくことでしょう。
出所:Crowdfunding Capital Advisor
https://crowdfundingpr.files.wordpress.com/2014/01/how-does-crowdfunding-impact-job-creation-and-company-revenue.pdf